そもそもオゾンやオゾン水を作ることのできる機械はすでに存在しており、国民生活センターの調査によると、'04年からの5年間において、『家庭用オゾン発生器』に関する相談が410件寄せられている。
そのうち「利用したら気分が悪くなった」「オゾンガスが体によくないとの情報があり不安」など、安全性に関するものが67件だった。
国民生活センターは、調査によって次のようなことを消費者へのアドバイスとしている。
《使用方法によっては危険なオゾン濃度となるものがあり、また、オゾン発生量等の表示を見ても専門知識のない消費者が安全に使用することは難しいと考えられた。このような現状のもとでは、購入等は避けた方がよい》
ASKAの機械の検証をした教授に話を聞くと
ASKAは、オゾン水精製の機械の開発にあたって、静岡県立大学にて検証を行なったという。検証を担当した内藤博敬助教授(当時は静岡県立大学、現・農林環境専門職大学)に経緯と検証内容について話を聞くと、
「数年前にオゾン水スプレーの評価法について論文を出しました。オゾンは壊れやすいので、オゾン水をボトルに詰めてスプレーしても効果はありません。ボトル内で作る必要があるため、開発中の機器を借りてスプレー噴霧後の除菌効果検証法を開発したのです。
ASKAさんの会社から試験の話が来たのは、'18年度に入ってからだったと記憶しています。その時点での試作機では除菌効果は見られなかったので、その旨の結果を返し、気になる点を指摘しました。
開発、改良を誰が行ったのかは知りませんが、本年度に再度試験依頼を受けた機種では、噴霧後に一定量のオゾンの存在が確認され、除菌効果もみられたというわけです。結果を返す際には、電解する電極、使用時間について機器そのものに改良の余地があることもお伝えしています」
ASKAの機械の検証を行なった内藤教授は、次のように続ける。
「オゾン水の中には、“飲めるオゾン水”と謳うようなまがい物があることも事実ですし、スプレーだけでなく効果の疑わしい機器の販売も目にするようになりました。少し前には、“血液クレンジング”でオゾン療法が取りざたされたりもしましたし、怪しまれても仕方のないことだと思います。学会としても、こうした機器と区別するため、評価の公定法制定に取り組んでいるので、近いうちに、認定マークなどを付けられるように頑張ります」
現在、ASKAは機械について語った動画を削除してしまっている。ブログでは、
《「クラウドファンディング」も視野に入れて動こうと思います》
と、積極的に発信していたはずなのに、いったい何があったのか。
開発の経緯や今後について、ASKAと共同開発したという企業に問い合わせてみたが、期日までに回答はなかった。
ASKAは今年1月に急性咽頭炎により、大阪でのコンサートを延期している。急性咽頭炎はウイルスや細菌などの感染や声の使いすぎなどが原因だ。彼は歌手であるため、声を使いすぎることはあるだろう。
しかし、もし原因がウイルスや細菌によるものだったら、2年前からすべてのウイルスや細菌を死滅できるオゾン水を使っているにもかかわらず、回避できなかったことになるのだが……。