企業ごとの評価制度が必要になってくる
Q6:困ったときはどこに相談をしたらいい?
「社労士に相談するのがいちばんですね。ほかにも労働基準監督署や、また各都道府県にある労働局の中には『雇用機会均等室』という部署があります。そこは労働者の平等について担当している部門なのでまずは相談してほしいと思います。
社内に労働組合があればそこに相談してもいいし、外部の組合や労働相談の窓口に相談してもいいと思います。
現在、この制度を企業が守らないときの罰則はほとんど設けられていません。しかし、制度は企業を罰するためにあるわけではありません。
労働法全体の話で言うと、罰則のあるルールもたくさんありますが、やはり目的は労働環境を整えることなので、まずは改善が促されます。
ただし、何度、行政に改善指導されても、改善する気がない、改善したと嘘をつくなどの悪質な場合には罰則が適用されるでしょう」
Q7:今後、働き方は変わっていくの?
「この制度が正しく活用されれば、待遇格差はなくなっていくことが期待できます。
今後は企業には各社ごとの評価制度が必要になってくるでしょう。評価されることで非正規社員の方の能力も、もっと明確になるでしょう。あくまでも、その人の能力や役割といったところで待遇が決まるので、もっと正当に評価されると思います。
ただ、線引きが明確にされてしまうと、それ以上の給与、キャリアが見込めなくなるので、その点は危惧しています。
ですから、制度を労働者がもっと意識するほどに浸透していけば、企業も二分化されることが考えられます。きちんと評価をしてくれる企業には人が集まる、そうでない企業は、離職や人材不足に悩むかもしれません。
まだまだ制度は始まったばかり。少なくとも1年後にはなんらかの結果が見えてくるかもしれませんね」
お話を伺ったのは……
社労士 片桐めぐみ先生
社会保険労務法人ジェイズ事務所代表。特定社会保険労務士。特にセクハラ・パワハラなどへの対策、採用・離職防止に関するコンサルティング、生産性を上げ、会社業績を上げる行動基準づくりなどを得意とする