つい先ごろ、世論の賛否両論の洗礼を浴びた、晋三首相(65)にテレビ朝日の富川悠太アナウンサー(43)。両者とも、突っ込みどころ満載の対応をしてしまい、その結果、大炎上を招いてしまった。
ミュージシャンの星野源(39)がネットで配信した楽曲『うちで踊ろう』にただ乗り(フリーライド)したばかりに、安倍首相は大顰蹙(ひんしゅく)を買った。情報番組デスクはたっぷりと皮肉を交え、
「国のトップが格好のワイドショーネタを振ってくれるとは、我々的にはありがたいというか」
と苦笑いだ。
2人に共通するのは
富川アナは、自身が連日コロナ報道をしていながら、自身の体調の変化を重大視しなかったことが、バッシングの餌食になってしまった。
テレビ朝日によれば、富川アナは今月3日(金)、4日(土)に38度の発熱があったが、すぐに平熱に戻ったために、週明け6日(月)からメインキャスターを務める『報道ステーション』に出演していた。発熱し、いったん平熱に戻る新型コロナウイルスの初期症状は、報道番組や情報番組で繰り返し伝えられていたこと。伝える当事者が、自身の発熱を甘く見たことが、世論を呆れさせた。
2人に共通しているのは、「危機意識の欠落」。自分の決断が巻き起こすであろう世間の反応に対して、あまりにも無自覚だった。安倍首相に至っては、無自覚以上に無邪気すぎる。
安倍首相は、星野源の音楽に、自身が自宅でくつろぐ映像をくっつけたが、爆笑問題の田中裕二(55)にラジオ番組で「カメラ意識しすぎ!」「マヌケなんだもん」とからかわれるレベル。「Stay at home」を訴えたかったという意図は読み取れるが、その優雅なアプローチは国民をカチンとさせるものだった。
富川アナに関して、一部スポーツ紙は「責任感が強い」とかばったが、
「その結果、報ステは崩壊寸前です。スタッフは大量に自宅待機になっています。そもそも今年3月に、在籍10年以上のベテラン制作陣を大量に派遣切りにし、制作能力そのものが衰えていた。局内からスタッフをかき集めてしのいでいるようですが、まさに泣きっ面にハチですよ」(一般紙放送担当記者)
富川アナの隣に座る、徳永有美アナウンサーも自宅待機を強いられているどころか、夫である内村光良と子どもたちと、感染リスクへの恐怖を抱えながら過ごしているはずだ。
批判の矢面に立たされる安倍首相に対し、富川アナへの過剰なバッシングが行き過ぎという擁護の声もSNSなどにはあるが、テレビ朝日の番組スタッフの声は辛らつだ。
「はっきり言って放送人として失格でしょう。多くのスタッフの命を危険に陥れているんですから。3日4日に発熱した段階で局に報告し休んでいたら、こうはならなかった。それを怠った責任は免れないでしょうね。
そもそもテレ朝は、番組スタッフに対して体温報告を義務付けているんですよ! 社員はよかったんかい! って突っ込みたくなりました。まったく呆れましたね。富川アナが上司に報告していないのか。報告していたとしたら、それこそ大問題。いずれ検証するのが、報道機関としての社会的義務だと思いますよ」
最前線にいてほしい首相が自宅にいて、自宅にいなければならないアナウンサーが放送の最前線に出てしまったばかりに、2人は自分たちの立場をややこしくしてしまった。
<取材・文/薮入うらら>