救急救命士より介護士

 医療関連では救急救命士のリスクも高い。東北大学病院・感染管理室の徳田浩一室長はこう指摘する。

「救急搬送者と密に接触すれば、咳やくしゃみを浴びやすくなります。そもそも前提として体調不良の患者さんですから、新型コロナかどうかは別として感染症をもらうリスクはあるでしょう」

 看護師は医師らよりもリスクが低いとされている。

 前出の上理事長は、

「それでも看護師のリスクは高いと思う。たしかに体液をモロにくらう処置は少ないかもしれませんが、タンを吸引する処置では飛沫を浴びやすいはずです」

 救急救命士や看護師よりも、ややリスク評価が低かったのが介護士だ。

「高齢者を支える大変な仕事ですが、日々見守っているため相手の体調をよく把握しています。どういう体調かわからない人に囲まれる仕事よりはリスクが低いかもしれません」と前出の徳田室長。

 全国各地の院内感染事例をみるまでもなく、医療従事者が危険と隣り合わせで奮闘していることは間違いない。

 厚労省は、不足する医療用ガウンのかわりに雨ガッパを使うことや、ゴーグルの代用としてシュノーケリングマスクを認めたが、命を守るための正当な防護具を一刻も早く調達するべきだろう。

 同様にハイリスクとみられるのがキャバクラやクラブで働く女性と性風俗業の女性だ。

 緊急事態宣言に基づく休業要請を受け、営業を自粛している店が目立つが、都内では看板の明かりを消して休みと見せかけ、こっそり営業を続けるキャバクラ店が……。この状況下でも、働く女性は全員マスクをしていなかった。

 前出の佐藤院長は、

「性風俗従事者は、せいぜい1日に5人ぐらいしか、お客さんと接しないでしょう。でも、キャバクラ嬢が接するお客さんは、その何倍にもなるだろうし、性風俗従事者よりもお客さんとの会話が多いのではないか」

 とキャバクラ嬢のほうがリスクが高い理由を説明する。

 肌には一切触れさせないとしても、近距離での会話のラリーで飛び交うしぶきを軽視しないようにしたい。