“職探し”や“脱・東京”も視野に入れて
新たな“職探し”も必要だと和泉さん。
「今回のコロナで、仕事を1つに絞っていると、失業や収入減のリスクになることがわかりました。
特に主婦は一般的なパートのほかに、オンラインでできる仕事を探すのも理想ですね。感染リスクもないですし、時代の流れにも合っている。家事や育児時間の空きを利用して、自由な時間にできるのも魅力ですね」
減収増税に備え、専門家たちはそんなさまざまな話をしてくれたが、次のような提言は共通している──。
「都会は“3密”で感染のリスクが高く、生活費や税金も高い。テレワークの有効性もわかったので、郊外や地方に移住したほうがいいのでは」
冒頭の森永さんは、“脱・東京”を視野に入れるべきと力説する。
「東京では自粛要請の協力金として、店舗などに50万円を2度にわたって給付しました。現時点で東京は財政が潤沢で、基金を積み立てているので、即、増税とはならないと思います。
しかし今後、第2、3波が続き、さらなる協力金を出すことになれば、都民はほかの道府県民よりも多くの税金を、国税以外に払うことにもなりかねません」
今までの地方移住といえば、リタイア後の年配者向けのイメージがあったが、今後は働き盛りの若者の移住が増えるかもしれない。
都会は“コスト高”、若い女性は危機感が強い
町づくり専門家で移住に詳しい木下斉さんが解説する。
「金融関係やIT関係では、すでに10数年前からそうした動きが出てきていました。今回のコロナでいっそうテレワークが進み、コスト高の都会に大きな会社を置くのではなく、都会では最小限にして、地方へという流れは加速していると思います。
とりわけ若い女性は危機感が強く、将来の子育てにも外で遊べる地方へ、という意識へシフトしています」
木下さんが、田舎選びのポイントを解説する。
「故郷へ戻るというのなら別ですが、都会に住んでいた人が、いきなり田舎へというのはハードルが高い。都会では個人の自由や権利が強いですが、田舎では地域の人同士の付き合いが濃厚ですからね。
ですから、まずはある程度、インフラが整った、数十万人規模の人口を持った地方の県庁所在地のようなところがいいと思います。
都会か田舎かという二者択一ではなく、現在はその中間を選択する傾向があるようです」
前出の和泉さんも、のどかさだけを重視しないほうがいいという。
「自然環境がいいところがいいのですが、まずは財政に比較的余裕がある自治体。ある程度、医療機関が整っていることも重要ですね」