一方で、こんな声も。

 愛知医科大学の後藤礼司医師は、

「PCR検査を無症状の人にどんどん行うと、感染しているのに陰性と判断される『偽陰性』が増えてしまいます」

 と注意を促す。

“第2の北九州市”はどこ?

 先月20日、「神奈川県医師会」が更新した文書『PCR検査の特性と限界』にも、

《新型コロナウイルスのPCR検査の感度は高くても70%程度です。つまり30%以上の人は感染しているのに『陰性』と判定され、『偽陰性』となります》

 と記載されている。検査をすり抜けた感染者が普通に暮らしに戻り、周囲の人間と接触してしまうおそれがある。

 ベストでなくてもベターな検査方法を模索する中で、上医師は、

「北九州市はようやく世界の標準になりました。今までの日本のやり方が異様で、その証拠に日本はアジアの中ですごく死者数が多いですからね」

 と解説。欧米との死者数の違いについて「民度が違うから」と胸を張った麻生財務相も形無しだ。

 図らずも北九州市の例から、コロナがまだ消えていないことがわかったが、“第2の北九州市”はどこになるのか? 前出の郡山教授は、

「同じ九州で熊本市は病院の連携がしっかりしているので、PCR検査によって感染者数は増えるかも。

 感染のリスクについて言うなら、高齢化率と密集度、両方高い地域がいちばん感染が起こりやすい。静岡、大阪の堺市も高齢化率が高く、密集度が高くなっています。

 いちばん低いのは、密集がなくて高齢化率も低い、沖縄のような場所。東北地方も高齢者の割合が高いのですが、人口密度が低いので、それほど感染しないでしょう。川崎市も意外に高齢化率が低いです」

 上医師は医療体制が充実すれば検査も増えて、多くのコロナ陽性者が掘り起こされるのではないかとみている。

「日本の医師数は西高東低です。福岡の医師の数は多いんですよ。人口510万の県に医学部のある大学が3校。日本でいちばん医師が多いのは四国の徳島県。(人口比率で見ると)千葉・埼玉が日本でいちばん少なく神奈川も少ない。埼玉県は人口730万人で医学部が1校だけなんです。全然医師の数が違います」