「今日も大好きですよ♪」
元妻が育てる子どもの成長報告に加え、連日交わされているその言葉。会話にはハートマークが飛び交い、ときには「Hしたい」というスタンプも……。繭子さんを罵倒(ばとう)し、無視する夫は日々、元妻に愛を囁(ささや)いていたのだ。繭子さんは震える手で携帯を閉じた。
「日ごろ、デブだブスだとけなしていた部下との浮気は腹が立つけど、彼がその子を大して好きじゃないのはわかる。むしろ前の奥さんとのやりとりのほうがショックでした。彼は釣った魚にエサはやらず、逃げた魚は全力で追うタイプ」
元妻との離婚原因は、おそらくモラハラ。浮気もあったかもしれませんね、と話す繭子さん。それでも、別れない。
「どうしても好きなんです……彼の顔が。無視されても怒られても“え、この角度カッコいい”とか思う。よけいなヤキモチを焼いて“出てけ!”と、逆ギレされたこともあったし、そっとしておきます」
何より、「自分が離婚して引き下がり、別の女が彼の妻の座に座るのが悔しい」という。
浮気もモラハラもなかった前夫より今の夫に執着してしまう、と語る繭子さんの左手薬指には、カルティエの結婚指輪が輝いていた。
妊娠したら俺の子ってことにされそう
最後の“サレ夫”、達也さん(仮名・52歳)には自慢の13歳下の妻と可愛い娘がいる。結婚前は企業の役員秘書を務めていた妻は、美人と評判だ。その妻が浮気している、と語る達也さん。
「去年、妻がPTA役員になったのですが、そのときの会長とデキてるってウワサがあってね……」
会長は30代半ばのイケメン。自営業で、多忙な介護職の妻に代わってPTAに参加。若さとノリのよさで女性陣の人気をつかんだという。
「妻が“ワンチャン”、“ガチで”など、聞いたこともないような、おかしな若者言葉を使いだし疑問に思っていました。
日中は“MTG(ミーティング)”、夜は“懇親会”という名目で頻繁に出かけていたのですが……つい先日、妻の財布からAホテルの日帰りプランのレシートを見つけてしまった。もうこれは絶対クロ。浮気でしょ! と妻を責めました」
すると妻は“PTAの引き継ぎだが、学校は閉鎖中で教室が使えない”、“Aホテルのテレワーク応援プラン。変なものじゃない”などと言い張る。怪しすぎるが、それ以上、確たる証拠もない。目下、監視と証拠集め中だというが、もうひとつ気になることがあるという。
「最近、セックスのときにコンドームを使いたがらない。浮気相手とも生でやってるのかな。妊娠したら俺の子ってことにされそうでイヤだよ」
まるで笑い話のように話す達也さん。顔で笑って心で泣いているようだった。
(取材・文/大西鮎子)