年間2万人の新規患者、約2000人が死亡
病気のサイン:横になるとせきが止まらない 11.『逆流性食道炎』
夜寝る前にせき込むのは、心不全だけでなく逆流性食道炎の可能性も……。
「心不全は苦しくてせき込みますが、逆流性食道炎はむせたような感じでせきが止まらなくなります。65歳以上になると多くなる病気で、げっぷの症状など胸やけを引き起こします」
逆流性食道炎とは、胃酸や胃で消化される途中の食物が食道に逆流して食道の中にとどまることで、食道が炎症を起こす病気。食道の粘膜は酸に弱いので、びらんや潰瘍を起こすという。日本人には少ない病気だったが、食生活の欧米化や高齢化で増加傾向にある。
「逆流性食道炎でせき込まないためには、夜寝る前にたくさん飲んだり食べたりしないこと。のどを鍛えるトレーニングもするといいでしょう」
病気のサイン:長引くせき 12.『結核』
感染症で怖いのは、新型コロナだけではない。ハリセンボンの箕輪はるかやモデルでタレントのJOYも感染したことで話題となった結核は、注意したい感染症だ。
「結核は年間2万人の新規患者がいて、約2000人が死亡しています。コロナばかりに目を奪われていると重要な感染症を見逃してしまうかもしれません。結核は若干、減ってきてはいますが、相変わらず気をつけなければならない感染症です」
結核菌は空気感染をするため、いつの間にかうつっている可能性があるという。
「若いころ感染して、高齢になって発症をする場合があります。若いころは免疫システムが働いて病気を抑え込んでいたものの、高齢になって免疫力が弱まり発病するようです。また薬剤耐性菌も増えているため、薬が効かない結核菌に感染すると治療が難航します」
病気のサイン:夜、寝るとせき込む 13.『心不全』
眠くなってベッドに入ったら、せき込んでなかなか眠れない……もしかして新型コロナ? ではなく、突然死にもつながる心不全のサインかも。
「横になると全身から血液が戻りにくくなり心臓がうっ血し、息苦しくなるのが心不全の特徴的な症状。せき込むのは、息苦しくなるからです。半身を起こすと少し楽になりますが、進行すると回復するまで時間がかかります」
また、夜中に息苦しくなって目が覚めることもあるという。
「急死はピンピンコロリでいいという人もいますが、夜中に急死するのは自分も残念ですし、家族にも悲しい思いをさせてしまいます。昼間にも、階段や坂道を上がったとき息切れがするなら循環器内科に相談してみましょう」
病気のサイン:肩こりや首が痛い 14.『心筋梗塞』
近ごろの自宅勤務の影響で運動量が減り、パソコンに向かっている時間が長くなると、肩こりや首の痛みを訴える人が多いのでは? それはもしかして、パソコンのせいではなく心筋梗塞のサインかも?
「心筋梗塞は、デコルテから上にサインがあらわれることが多い病気です。頑固な肩こりや首の痛みが実は心筋梗塞だったというケースは意外と多いものです。最初は、こりや痛みが出たり消えたりしていますが、だんだんと何をやっても解消されないのが特徴です。経験者に聞くと、後から思えば、痛み方がいつもと違っていたと話していました」
狭心症と同じく、歯やあごが痛いということもあるとか。
「もちろん心臓のあたりが痛い、苦しいという人もいますが、さまざまな症状が出るのが心筋梗塞の特徴です」
女性のがんの罹患(りかん)数1位は乳がん。そのサインといえば「胸のしこり」と思いがちだが、実はさまざまなサインがある。
「乳がんのサインはひとつではなくさまざまな症状がみられます。しこりができる、へこむなど形が変わる場合、赤みを帯びるなど色が変わる場合、湿疹のようなブツブツが出る場合、かゆみなどの皮膚症状が出る場合があります。これからの季節、虫刺されやあせもと思ったら乳がんだったという可能性もあります」
虫に刺されたり、汗をかいたりなどの刺激がないのに、ブツブツやかゆみが胸に出ていたら要注意だ。
「乳がんの場合、片方の乳房付近に出るのが特徴です。乳がんのサインの特徴を覚えて、朝の着替えのときにチェックしてみるといいでしょう」