『しげログ』は商品プロデューサーとして活躍し、海外のファッション・流行などをナビゲートしているしげるちゃんが毎回「会いたい人」と「好きなお店」で対談! ゲストの“素”を引き出しちゃいます。第9回目のゲストは放送作家の鈴木おさむさん。緊急事態宣言明けに行われたソーシャルディスタンス対談の行方は──?
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しげる「鈴木おさむさんは長年、テレビに携わってこられたじゃないですか。そんなおさむさんだからこそしげる、聞きたいんですけど。今はバラエティーでも報道番組でもリモート出演が増えたりして、コロナ禍以前と様相が違ってますよね。テレビの中にいる人から見て、アフターコロナのテレビってどうなると思います?」
鈴木「まず思ったのは、やっぱりバラエティー番組が楽しそうに見えなくなってしまいましたよね。だってスタジオで出演している人も2メートルのソーシャルディスタンスをあけているじゃないですか。バラエティーは楽しそうに見えてなんぼなんだなというのは改めて感じました」
しげる「リモート出演に関しては?」
鈴木「どうでしょうか。劇団ひとりさんもラジオで言っていたんですけど、リモート出演も最初の方は好評で、視聴率も良かったんです。なぜなら、普段は見られない出演者の“自宅の様子”が垣間見られたから。でも、もう飽きられちゃいましたよね。
飽きられたっていうのと、あと視聴者の皆さんも今、自粛、自粛でずっと家にいらっしゃるじゃないですか。そんな状態で、テレビのなかでも自粛しているのを観たら、息苦しく思っちゃいますよね。テレビって楽しいもののはずなのに、なんかしんどくなっちゃう」
しげる「確かに。じゃあ逆に、コロナ禍を機会に、いい意味で変わりそうなことってあると思います?」
鈴木「おそらくこのコロナ禍で“テレビって面白いんだな”って思ってくれた人が増えたんじゃないでしょうか。これは、ガジェットとしての“テレビ”という意味なんですが、今はテレビでネット番組を観ている人が多いじゃないですか。テレビがネットでつながっていて、パソコンじゃなく、テレビを“モニター”としてNetflixなどのサブスクリプションの配信サービスを観る。“テレビがダメになった”っていう取材をよく受けるんですけど、テレビではなく、地上波のテレビ局が前よりもパワーがなくなったという問題だと思うんです」
目指すはコンテンツとして売れる番組づくり
しげる「分かります。NetflixでもHuluでもそうなんですけど、テレビで見られますもんね。ケータイとかパソコンで見るよりもやっぱりあの大きな画面で見たいなって思うので。その分、地上波を観る機会は相対的に減った気がします。結局、サブスクで海外ドラマとか映画とか、昔のドラマを観ちゃったり」
鈴木「そうなんですよ。そうやってエンタメが多様化して、観るものが分散したということもあるんですが、このコロナ禍で、いよいよテレビが“モニター化”したなということを僕は強く感じるんです。例えばNetflixでは、『梨泰院クラス』とか『愛の不時着』などの韓流ドラマが跳ねました。
Netflixに限らず、このコロナ禍で、テレビでこれらの配信サービス、YouTubeなどを観た人はとても多いのではないかと思うんです。そうなると地上波のテレビ局が作った番組にも触れるわけで、そういった意味でも“テレビって面白いんだな”という認識につながるとは思うんですけど」
しげる「でも、おさむさんとしては、リアルタイムでテレビを見てもらいたいって思いもあるんじゃないですか? やっぱり」
鈴木「そうですね。僕はテレビ番組を作る側なので、ライバルが本格的に増えたなという認識はとてもあって、番組の対象年齢も少し下げたほうが良いかなという思いもあるのですけど(笑)。
でも、僕たちがやらなければいけないのは、コンテンツとして売れる番組です。視聴率だけじゃなく、業界内で“この番組の営業をしたい”と思わせるような。だから僕、『M』のようなドラマがいいなって思うのは、『M』ってテレ朝さんだけじゃなく、ABEMAさんと一緒にやっているじゃないですか。ABEMAさんでも配信されているということが、『M』の強みだったと思うし、これからはもっと、そういう形が増えていくのではないかと思います」