「夫にちゃんと遺言書を書いてもらっておけばよかった」
そう嘆くのは、夫をがんで亡くしたマサミさん(55歳)。財産の相続をめぐって、義理の親ともめているのだ。
「子どもがいないので義両親にも相続権があり、遺言書があったほうがいいとは思っていました。でも、“遺言書を作るのは面倒”と聞いていたし、病床の夫に遺言書を書くよう頼むのは気が引けて」
こうした相続争いを避けるにはどうすれば? 教えて、弁護士の高橋裕樹さん!
「遺言書を書くことをためらう人は多いですね。従来の、自分で書く“自筆証書遺言”では、いろいろな条件を守らなくてはいけなかったし、遺言書の保管方法にも悩みました。うっかり書き方や手続きを間違うと無効に……。そうしたお悩みをクリアできる方法としては、公証役場で“公正証書遺言”を作ってもらう手もありました。でも、その場合は手数料がかかります」(高橋さん、以下同)
遺言書が安く作れちゃう!?
ちなみに、その手数料は相続人それぞれが受け取る財産の価額に応じて決まっていて、例えば500万円超1000万円以下なら1万7000円。これを相続人全員分払うほか、遺言書の枚数に応じてプラスアルファがあるという。確かに面倒&高い。
そうした遺言に関するハードルを下げ、みんなが遺言書を書いて自分の意思を家族に伝えられるよう、このところ遺言や相続に関する法改正が相次いでいる。
「遺言に関して大きな変更ポイントは、今年7月から自分で書いた遺言書を法務局で保管してもらえるようになること。その手数料が3900円と安い! 書き方も窓口でチェックしてもらえて、“日付の書き忘れで無効に”といったミスはなくなります」
また、これまで自筆証書遺言はすべて自筆で書かなくてはならなかったけれども、7月以降は「財産目録」に関してはパソコンで作成して、署名と押印すればOKとなる。その点に関してもお手軽になったわけだ。