命かけてるんだから、ちゃんとやって!
生放送なのでアクシデントもしょっちゅう。中山美穂は新幹線で移動中に歌を披露するはずだった。
「ミポリンが乗っている新幹線が途中駅に到着して、スタッフがマイクを向けたのに、スタジオの声が彼女に届いていない。ミポリンが“何、何?”って言ってるうちにドアが閉まって新幹線は行ってしまった。実はこのとき、新幹線を30秒ほど遅らせちゃったんです。今ではありえないけど、当時のベストテンなら、なんでもOKだった」
'80年代中盤はアイドル全盛時代。小泉今日子や中森明菜が国民的人気だった。
「キョンキョンは『なんてったってアイドル』を歌っていたころ。彼女の何がスゴイって、いちばんいい匂いがした。ものすごくいい匂いで、かいでいるだけで“付き合ってください”と言いたくなる(笑)。どんな香水を使っていたのか、今でも聞いてみたい」
中森明菜は『DESIRE-情熱-』がヒットして、カリスマ的歌姫になっていた。
「明菜ちゃんは、とにかく一生懸命に生きている人だし、血気盛んな年ごろ。本番前の楽屋には彼女の怒鳴り声が響いていた。“命かけてるんだから、ちゃんとやって!”って。彼女のことをいろいろ言う人もいるけど、単に怒っているんじゃない。“打ち合わせで、この服を用意してって言ったでしょ、間に合いませんでしたはダメなの!”って。スタッフが言い訳をすると“だったら、なんで前の日にできないって言わない?”と。
彼女の言っていることはいちいちもっともで、僕は応援していました。歌は全力で歌うし、まじめ。早めにスタジオに入って、懸命にカメラの映り方を研究している。人知れず努力していたんです」