胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、逆流性食道炎など、消化器系疾患では、ちょっと聞きなれないが『プロトンポンプ阻害薬』と『H2受容体拮抗剤』がよく使われる。
消化器系疾患は、胃壁から分泌される胃酸が増えてしまい、胃や十二指腸の粘膜を傷つけることで発症する。そこで胃酸の分泌を抑えるのが、これらの薬だ。できるだけ薬は使わないことを提唱している松田医師も、
「これらの薬は即効性もありある程度、治癒するまでは飲んだほうがいいと思います。ただし長期にわたって服用しないこと。ここが大事です」
消化器系が弱い人は、常にこうした薬を持ち歩き、常飲していることが多いが、そこが問題だ。
「プロトンポンプ阻害薬には、肝障害、腎炎、視力障害、筋肉の融解、錯乱、貧血、血小板減少などの副作用が。H2受容体拮抗剤にも、意識障害や痙攣(けいれん)、腎炎などの副作用が報告されています」
プロトンポンプ阻害薬の長期使用は胃酸が出ないため栄養障害を起こす可能性があります。その結果、骨折のリスクが高まるのです。
自分の治癒力こそ最高の名医
解熱鎮痛剤は、非常に種類が多く、気軽に使われている。しかし、その気軽さが問題だと松田医師。
「高熱にうなされたり強い痛みがある場合以外は、極力使わないほうがいい。熱を解熱剤で無理に下げると、一時は楽になりますが、治りが悪くなり結果的には逆効果です。自分の治癒力こそ最高の名医ですよ」
血圧は低いほうがいい。医師だけでなく、誰もがそう言う。しかし、本当にそうなのかと松田医師。
コレステロールの数値でも触れたが、血圧の基準値そのものに問題があるらしい。
昭和の半ば、1960年代は、血圧の上(収縮期血圧)は『年齢+90』までが正常とされていたそうだ。40歳なら130、50歳なら140、60歳なら150までは問題なしとされていた。それが今では、日本高血圧学会は『120/80未満が至適血圧』としているのだ。
これだけ数値が厳しくなれば、高血圧に該当する人も急増して、なんと4000万人以上が高血圧になってしまった。