少しずつ減薬して、最終的には断薬を
これはおかしいのではないかと、新しい研究結果による数値が次々と提唱されているが、どれが正解かはいまだにはっきりしていないらしい。
「そもそも、血圧の基準値がはっきりしていないのですから、それに振り回されないことです。一般的に、高齢になるにつれて上昇します。女性の場合、更年期前後に高くなり、更年期が過ぎると自然に下がっていく方も少なくありません。
ですから、120という厳しい基準と照合して、『高血圧症なのだ』と心配する必要はありません。そして医師から処方された降圧剤を、ありがたがって服用することもないのです。
もちろん、高血圧の薬をすぐにやめなさいとは言いません。飲んだほうがいい方もいますが、少しずつ減薬して、最終的には断薬できるようにおすすめしたいですね」
でも、『血圧が高くなれば、血管が破裂して脳出血になってしまうかもしれない。大変なことになるかもしれないから、怖くてそう簡単に薬を減らすことはできない』という声も多い。
「血圧は怒ったり、心配したり、また日中や季節によっても変動します。穏やかな生活習慣を心がけ、食事と運動で血管を若返らせてあげればいいのです」
これならできそうだ。減薬から断薬まで、それほど難しくないのかもしれない。
高血圧に次いで多いのが、糖尿病。高い血糖値が続いて、そのまま放っておくと網膜症(成人の失明の第1位)・糖尿病性腎症(人工透析になることも)・神経障害、そして動脈硬化が進んで心筋梗塞や脳卒中を起こす危険もある。そのために血糖値を下げる薬を飲むことになるわけだ。
「糖尿病で問題なのは、血糖値の急激な変動です。糖質制限食を行い、適度な運動と、睡眠不足にならないように気をつけて、ストレスも排除すれば、血糖値は下がっていきます。主治医と相談し、血糖値を測定しながら、ゆっくりと減薬を心がけてください」
糖尿病の薬は飲み薬として、スルホニル尿素剤、ビグアナイド薬、インクレチン関連薬などが発売さているが、それぞれに副作用がある。重症の場合はインスリンを使うことになるが、いずれも糖質制限と適度な運動で薬を減らすことは可能。
安易に薬に頼るより、頑張って糖質制限食を守るべき。