ステロイド剤は急にやめてはいけない
ステロイド剤は抗生物質と並んで、現代医学が手に入れた素晴らしい薬だ。内服、点滴、外用、吸収、点眼、点鼻など身体のさまざまな部位に用いられ、その役割は“炎症を抑える”“免疫を抑制する”“アレルギー症状を抑える”こと。膠原病(こうげんびょう)や、喘息(ぜんそく)、皮膚疾患などに使われ、多くの重症患者を救ってきた。
ただし、効果も高いが副作用も強い。それで「ステロイドは怖いから使いたくない」と敬遠されることもある。
何しろステロイド剤を服用すると、疲れがとれて元気になる。アトピー性湿疹などの炎症もステロイドの軟膏(なんこう)を塗ればかゆみがおさまり、肌もきれいになる。喘息患者が吸引すれば、激しい咳がおさまってしまう。
ただし、この劇的効果を期待して使い続けてしまうと、体内で酸化ステロイドに変化して、元の病気を難治化させてしまう。
使い続けると効果が落ち、さらに悪化させてしまう。それでさらに強いステロイドを使うしかなく、抜け出せなくなってしまう。
「ステロイド剤は急にやめてはいけない。抑え込んでいた症状が一気に噴き出す危険があります。よく、ステロイドは怖いからと自己判断で中止したりしますが、むやみに恐れるのではなく、専門医の指導を受けながら、ゆっくりと減らしていきましょう」
ここに紹介したのは、比較的多くの人に使われている薬であり、ほんの一部だけだ。
どんな薬でも、副作用は必ずある。自分が飲んでいる薬がどういう薬で、どんな副作用があるのかは、自分で調べることが大切なのだ。
「医師も薬剤師も知らないことがあります。たくさんの薬の副作用など覚えているはずがないのです。副作用が強い西洋医学の薬は、必要なときにだけ飲むこと。病院でもらったからと、何種類もの薬を、いつまでも飲み続けないでください」
気をつけて飲みたい薬を写真ページの表にまとめたので、ぜひ参考にしてほしい。
[取材・文/つきぐみ(水口陽子)]
松田医院 和漢堂院長。減・断薬指導だけでなく心理療法、漢方、鍼灸、栄養療法、矢迫インパクト療法などの両方を組み合わせた統合医療を実践。アレルギー疾患、免疫異常疾患、がん、心の病など急増する現代病に日々対応している。主な著書に『薬の9割はやめられる』(SBクリエイティブ刊)