「周りには“フジコ”と呼ばれていました。すごく優しく紳士的で、職場には彼に思いを寄せていた人も……」
信じられないといった様子で話すのは、容疑者の大学時代にスターバックスのアルバイトで同僚だったという女性だ。
8月9日、女性の同意がないまま堕胎手術をしたとして、岡山県警に逮捕された藤田俊彦容疑者。岡山済生会総合病院に勤務する外科医だった。
病院は逮捕翌日の10日に記者会見を開き、「職員が逮捕されたことは誠に遺憾で、管理者として責任を痛感している」と謝罪した。
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堕胎した子どもの父親だった
「診察してあげる」
知人女性(20代)から妊娠の相談を受けた容疑者は今年5月17日の日曜日、そう言って勤務する病院に呼び出した。
事件当日は休みだったという容疑者。手術室に女性を連れ込み、麻酔薬で意識をもうろう状態にさせ、病院に無断で人工中絶手術を行った。女性は、
「堕胎するつもりはなかった」
と話しているそうで、藤田容疑者は犯行を認めている。
手術予定もない人間が無断で堕胎手術などできるのかはなはだ疑問だが、病院によると、
「医師であれば薬剤を入手できた可能性がある」
とのことで、医師の立場を悪用すれば、人目につかない診察室で犯行は可能だった。
なぜ、人の命を守る立場の人間がこんなことをしたのか。
事件後の報道では、藤田容疑者は堕胎した子どもの父親らしいことが判明した。しかし、彼にはその女性のほかに、同棲中の婚約者がいたという─。