――効果音を使うなど、学生を飽きさせない画期的な授業スタイルが支持され、「明治一受けたい授業」にも選出された堀田先生の授業。しかし、オンラインになったことで、今までのように「盛り上がらない」のも悩みの種だと明かす。
会話を盛り上げるためには
西出:やはり、進行役であるファシリテーターが盛り上げるということが大事だと思います。会議や授業でオーバーなリアクションをする=失礼なこと、と思う方もいるかもしれませんが、対面のように話しても伝わりません。
堀田:アメリカ人くらいオーバーなリアクションをするしかない?
西出:そう! “伝える”“伝わる”ことが相手を思う気持ちにつながります。そして、オンラインは悪いところばかりではなくて、良い点もあります。自分の姿が見えるため、自分の表情や身振り手振りを確認することができる。自分を知ることにもつながるんですね。
堀田:自己表現の訓練の場として割り切ってみるのは面白いかもしれない。たしかに、「スマホなどで自撮りをし続けると、自分に対してポジティブになれる」というカリフォルニア大学アーバイン校の研究もある。自分の姿が見えることを利用するのはアリですね。
西出:自分がどんな表情で相手に意思や気持ちを伝えているのか。それを知ることは、面接などにも活かせると思います。
堀田:もっとうなづいてくれるだけでもいいんです。リアルの授業よりもはるかにリアクションが薄いため、伝わっているのか不安になる。リアルの授業では、目があったり、話を振ったりすることで、教室に活気が生まれていくこれまでとは一変して、相手のリアクションがないため盛り上がらない(苦笑)。“誰かがするからいいだろう”という「傍観者効果」も働いて行動せず、熱が生まれづらい。
西出:話す側のマナーばかりが取り上げられていますが、堀田先生が仰るように、聴く側のマナーや気持ちに関して、十分に語られていないところがある。マナーはお互い様ですから、お互いを思う気持ちがなければ円滑なコミュニケーションにはつながらない。
堀田:加えて、特に動画配信型のオンライン講義は時間が学生たちの負担を考えて30分前後と短くしようとするため雑談をすることが難しいんです。雑談が暖気運転よろしく、学生たちと程よいコミュニケーションを作り出すポイントだったのですが、それができない。退屈させないようにいろいろと工夫を凝らしてはいるものの、そこに時間をかけると肝心の授業時間が減ってしまう。ジレンマです。
西出:でも、ファシリテーターとして堀田先生は超優秀ですよ! そこまで考えている方は珍しい。
堀田:ありがとうございます(笑)。 学生たちの中にもコミュニケーションを取ろうとしている子たちはいると思うのですが、オンラインは記録として残ってしまうため、大人しくしていようという心理も働いているのかもしれません。