食べていけるのは「全体の1割〜2割」
すいのこが力説する。
「『フォートナイト』などのシューティングゲームはいろいろな情報を同時に処理する能力が求められるゲームです。複数の作業を並行してやることで、脳の活性化につながると専門家は指摘していました。だから悪い面ばかりではありません」
例えば、小中学生に人気のゲーム『マインクラフト』。3Dブロックで構成された仮想空間の中で、ものづくりや冒険が楽しめ、海外ではプログラミングの学習教材としても高く評価されている。
IT産業に力を入れている韓国では、子どもの間でパソコンゲームが普及し、小学1年生でもブラインドタッチができるほどだ。すいのこが続ける。
「ある意味でゲームによる英才教育です。ゲームだからといってネガティブな面が強調され、有効活用できる可能性をつぶすのはもったいない。本人がやりたいと言うなら、まずはやらせてみるべきだと思います」
とはいえプロの世界に入ると話はまた変わる。
すいのこによると、格闘ゲームで“プロ選手”と呼ばれているプレーヤーは現在、日本国内にざっと200人。その他のジャンルも合わせれば、総数はその数倍いるとされる。その中で、プロとして食べていける専業は「全体の1割〜2割」だという。
もっとも、お笑い芸人や漫画家、役者など、キラキラ系の職業で食べていけるのはひと握りしかいないわけで、ゲームもご多分に漏れない、というだけだ。すいのこが言う。
「僕の場合は、所属企業から大卒初任給ぐらいの給料をもらいながら、ゲームの動画配信などを行い、国内や海外の大会に行く際の遠征費をサポートしていただいています。恵まれているほうだと思います」
例えば『フォートナイト』のトッププレーヤー、ネフライトは、すいのこの著書で「年収は1000万円ぐらいある」と明らかにしている。100万ドルを手にして「シンデレラボーイ」と騒がれた前述のふぇぐも含め、彼らはひと握りかもしれないが、一流になれば一獲千金も夢ではないのが現在のプロゲーマーの世界なのだ。
日本におけるeスポーツ業界はまだ途上だが、職業の選択肢という意味では裾野は広がっている。
小学生がなりたい憧れの職業で、「ゲームクリエイター」は毎年、10位以内にランクイン。プロゲーマーが上位に食い込む日は、そう遠くないかもしれない。