アイドルや子役、引退の明暗
まずは、アイドル・子役編。若くして世に出たぶん、若くして引退する人もいる。
例えば、森且行のケースだ。子どものころからの夢だったオートレーサーに、22歳で転向。折りしも『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)が始まった翌月のことで、SMAPは国民的グループへと飛躍しつつあった。その後はオートレースひと筋に活動してきたが、2017年には新しい地図の3人とネットテレビでの共演が実現している。
久々の共演といえば、この年、別の元ジャニーズも話題になった。’90年代後半のJr.黄金期を滝沢秀明らとともに担った小原裕貴だ。こちらの引退はタッキーよりもはるかに早い。人気実力とも申し分なく、世代的には嵐のメンバーになっていてもおかしくなかったが、正式デビューしないまま、2000年にJr.を卒業。3年後に大手広告代理店に就職した。が、かつて出演した『ぼくらの勇気 未満都市』(日本テレビ系)の続編が作られるにあたって、この作品のみで復帰。二宮和也は自身のラジオで、
「すごくない? 一般の人がドラマに出る。現場も裕貴くんに合わせてスケジュールが組まれてる。有休、ほとんど使ったらしいよ」
と、興奮していたものだ。
男性アイドルではほかに、西尾拓美のようなパターンも。CHA-CHAで活躍後の’96年に引退。その翌年、西村知美と結婚し、現在は飲食店のオーナーだ。
また、今年5月にはw-inds.の緒方龍一が「心身症」を理由に活動を休止した。
女性アイドルでは、橋本奈々未の引退がいまどき珍しいものだった。乃木坂46に入った目的が自身と家族の経済的苦境からの脱出だったため、そのメドがついたことで卒業。
引退の事情で明暗が激しく分かれているのが、ハロプロ(ハロー!プロジェクト)系である。吉澤ひとみのように不祥事(飲酒運転と轢き逃げ)で芸能界を去った人もいれば、松浦亜弥のように結婚で活動休止した人もいる。ただし、あややはこのとき、
《今年の冬で12年の付き合いになりますが、私の青春には、すべて彼がいます。悲しいこと、辛いこと、嬉しいこと、楽しいこと全部です》
と、デビュー数か月後から交際していたことまで明かしてしまった。彼女に青春を捧げた男性ファンには、泣きたくなった人もいたことだろう。
最近は、尾形春水がモーニング娘。時代のダイエット経験をユーチューブで告白。その流れでワイドショーに取り上げられたりしている。ただ、ハロプロファンのなかには、引退した人が昔の看板を利用しているとして快く思わない人もいるようだ。
その点、意外と潔かったのが、幼児教育の道に進むため、3年前に引退した、ももちこと嗣永桃子。アイドル活動をしながら、大学で教員免許も取得していたという。
ところで、ももちと同じ道を今、目指しているかもしれないのが、大橋のぞみだ。ジブリ映画『崖の上のポニョ』の主題歌でブレイク。NHK紅白にも2年連続で登場した国民的子役だが、小学校卒業を機に引退してしまった。
そこには、自他ともに認める恥ずかしがり屋な性格に加え、同じく子役をやっていたという祖父の《あまり長くいちゃ駄目。ボロボロになってから辞めても、普通の社会の常識とか身についてないからその後の人生が大変》(『週刊文春』)という助言が影響していたようだ。
そんな彼女は9歳のとき「保育園の先生になりたい!」と語っていた。とはいえ、まだ21歳。人生はこれからだ。