環境の変化に耐えられ自らを変えられること

 緊急事態宣言が解かれてから全国で感染者の数は増え続け、再び宣言を発令したほうがいいという声も上がってきた現在。強まる逆風の中、それでも菜々江ママは前を向き、歩を進めようとしている。

うちの従業員が“ママ、本当に強い生物は環境の変化に耐えられて、自分を変えていける生物ですよ”って言ってくれまして。第2波が来るかもしれない、また違うウイルスの可能性もあるかもしれない、と思ったときに、社会のネット化が進んでいるので、そちらにも力を入れようかなと思ったんです。“オンラインキャバクラ”というのも実際出てきたじゃないですか。なので店舗は通常どおりに進めながら、今、私も『オンラインクラブNanae』を作っているんです(笑)

 店の売り上げがゼロになっても、SNSで誹謗中傷されても、ひたすら自分の道を行く。そんな菜々江ママを支えているものは何? と問いかけてみると──。

「何でしょうね(笑)。銀座に20年いて、経営も小さいお店からスタートしてやってきたので……。私、もともと小さいころから数字に強いんです。経営をしていく中で、固定費がこのくらいで、ホステスさんのお給料が売り上げのこのくらいのパーセンテージならそんなに赤字にならないな、とか。数字の裏づけが自分の中で必ずあるんです。だからあまり悲観的にならないというか(笑)。

 あとは、いつも視野を広げるように心がけています。いろいろなことを見るようにしていると、何かしら引っかかってくるんです。例えば、オンラインショップだったり、飲みのネット化だったり。そう思ったときに、現実につなげる手助けをしてくれるのが、これまで培ってきた人脈です。

 私を支えているのも、数字の裏づけと人脈ですね。あと、自分が楽しんでいるということもあると思います。私、若いころにどん底な人生を送ってきたので、今どんなことがあってもへっちゃらです。“あのときに比べれば全然、楽”って思えば。今の私には、ポジティブになれる要因しかありません(笑)


からさわ・ななえ 銀座歴20年のホステスで、クラブ『Nanae』のオーナーママ。インスタグラムやYouTubeで銀座の魅力を発信。『マツコの知らない世界』『NEWS23』などテレビ出演も多数

(取材・文/蒔田稔)