結婚しても親と同居したい
●竹内勇人さん(42歳・自営業=仮名)
「実家から出るメリットがわかりません」と語る竹内さん。
「親との同居は当たり前だと思っていたし、出ていく理由もないからひとり暮らしは考えたこともありません。親からも出ていけと言われたこともないです」
竹内さんは現在、首都圏の実家で70代の両親と暮らしている「子ども部屋おじさん」だ。会社員として働いていたときも実家から通った。今は自宅でユーチューブで配信をしたり、ゲームを自作し、ダウンロード販売をするなどして収入を得る。
「家賃もゼロだし、お金のことを考えても実家暮らしのほうがいいと思うんですが……。特に不便もないですし」
竹内さんの部屋には懐かしいアイテムが数多く残る。学習机はもちろん、一世を風靡したビックリマンシール、スーパーファミコンなどのゲーム機や攻略本など、まるで'90年代にタイムスリップしたような錯覚に陥る。
竹内さんの生活は家事や食事は両親が準備。洋服も母親が買ってきたものを着る。子どものころのまま時間が過ぎていったという。
「現在、生活の大半は父親の収入に頼っています。親も高齢になるので将来のことなども考えていかないと、とは思っています」
目標は自作するゲームを販売してヒットさせること。
「稼げれば新居を建て、そこで親と同居します。そのときはこの部屋を丸ごと持っていきたいですね(笑)」
そんな竹内さんの結婚観について聞いた。
「親に孫の顔を見せたいとは思っています。でも収入がないし、実家暮らしだと相手を探すのは難しい」
たとえ結婚しても、
「うちで同居したいと思ってるんです。この家、この部屋が重要なんですよね(笑)」
それほどにまで強い愛着を持つ竹内さんの子ども部屋。思い出があふれ、確かに居心地はよさそうだった。