古い保険はミスマッチ! 新しいものを
【3】医療の進歩にマッチしてない2000年前後の保険は要注意
「そもそも医療保障が必要なのか、冷静に検討を。日本の社会保障は充実しています。高額療養費制度により、どんなに医療費がかかっても1か月の自己負担は9万円くらいですむのです(69歳以下、年収500万円の場合)。貯蓄がしっかりできている人には不要という考えが一般的です。貯蓄がなく老後が心配な人でも、日額5000円程度の保障があれば安心なのでは」
ならば、夫婦それぞれ日額5000円の保障がある人は、安心しちゃっていい!?
「ただ、加入が2000年ごろより前の人は注意。古い医療保険は、今の医療事情にマッチしてないんです。まず、短期入院に対応していない。古い保険だと5日以上入院しないと入院給付金がもらえない種類も。ところが今は、内臓の手術でもお腹を切ることなく、内視鏡を使ったりして入院期間が短いものが多いのです。手術給付金も、対象となる手術が88種類くらいしかないんです。最近のだと倍以上の手術が対象ですからね。できれば古い医療保険はやめて、新しい医療保険に入り直す検討を」
昔入った定期付終身保険などの医療特約についても同じことがいえるので注意!
「なお、いくら新しい保険に入りたくても、持病や年齢によっては加入を断られます。なるべく元気で健康なうちに見直すのが得策です」
【4】がん保険も「通院治療」など今の医療事情に合わせるべし
がん保険についても、古いものは見直すのがおすすめ。
「2000年ごろより前に加入した古いものだと、『65歳過ぎると保障が半額になる』『がんと診断された際の一時金は、初回のみ出て、がんが再発してももらえない』『通院治療に対応していない』『先進医療に対応していない』など、今のがん治療のニーズに合っていません」
がんというと長期入院のイメージがあるけれど、現在は家から通院しながら抗がん剤やホルモン剤治療、放射線治療を受けるケースが多く、その費用が月数万円かかってしまうのだ。
「よほど進行しているがんでもない限り、古いがん保険は役に立ってくれないんです。新しいタイプのものは、今のがん治療に必要な部分をたいていカバーしてくれますから、できれば加入しなおしたほうが安心です」
がん保険についても、今の保障内容をしっかりチェックしてみましょう!
◎保険解約の注意点と手続きのタイミング
保険を見直した後の解約にあたって注意すべきは、「新しい保険への加入が承認されてから古い保険を解約する」こと! 健康状態や年齢によっては新しい保険への加入を断られることがあるのだ。解約を先にして新たな加入を断られると、その後は保障なし状態が続くという恐ろしい状態になることに……!
「新旧の保険料の二重払いを避けたい場合は、払い込み猶予期間を利用する手も。古い保険の保険料をストップして新しい保険を申し込み、もし加入を断られたら猶予期間内に古い保険の保険料を払えば保障を継続できます」
◎ネット保険って本当にお得なの?
「人件費がかからないぶん、保険料が安い」イメージのあるネット保険。「実は、ネット保険では、死亡保険金が必要になる確率をシビアに保険料に反映しています。若い人の保険料は確かに安いのですが、高齢な人は通常の保険より高い保険料になることも。必ず複数の保険会社から見積もりを取って比較検討しましょう」
(取材・文/鷺島鈴香)
《PROFILE》
竹下さくらさん ◎ファイナンシャルプランナー。なごみFP事務所代表。ライフプランに基づく個人のコンサルティングを中心に、講演・執筆を行う。著書に『1時間でわかる やれば得する!保険の見直し100の鉄則』(技術評論社)など多数。