アルバム曲も高い支持
今回、アンケートを取るにあたって、編集部は代表曲を含む21曲をあらかじめ選曲。「もしこの中になければ自身でチョイスしてください」と注釈をつけ実施したのだが、驚くことに返答の半分近くが21曲以外からの選出だった。
ランキングで2位に位置する『LOVE LETTER』や5位の『MILK』は、アルバムに収められている楽曲だ。
「『MILK』は自信をなくしたときや傷ついたとき、ありのままの自分でいいんだよ、と認めてくれたように感じて癒されます。今でも癒されてます」(東京都・女性41歳)
「『LOVE LETTER』は就職することになった友人を勇気づけながら駅まで見送る歌なんですけど、ファンの間ではこのホームは槇原さんの故郷である高槻駅なんじゃないのかって。私、しっかり高槻まで行って聖地巡礼してきました」(坂本ちゃん)
ヒット曲に人気が集中することなく、アルバムの曲までさまざまな曲がアンケートに寄せられる─。それだけ彼が作り出す音楽が、いろいろな人の心に刺さっていることを示唆している。
「デビュー20周年に発売されたベストアルバムは『Best LIFE』と『Best LOVE』の2枚に分けられていました。彼はラブソングだけではなく、ライフソングを紡げるからこそ、今回も多岐にわたる曲が選ばれたのではないか」(田家氏)
とりわけその傾向は、21歳でデビューした'90年代と、30代になって迎えた2000年代とで顕著だという。彼自身、'99年に逮捕され、謹慎期間中に思うところがあったのかもしれない。
「2000年代に入って、彼が言っていたのは“人生に意味のあるポップス”という言葉。人の悲しみや不安を意識したポップスが増えています。『世界に一つだけの花』は、まさに人の人生に意味を持たせる、その最たる例ですよね」(田家氏)
アンケートで6位の『太陽』は、彼がライフソングを始めたころの曲だという。
「誰かのための幸せを当たり前のように祈ることを歌っていますが、私もそうなりたいと思います」(長崎県・女性56歳)
「つらいことがあって落ち込んだときに『太陽』の歌詞で目覚め、気持ちが前向きになって自分を取り戻すことができました」(福岡県・女性50歳)
マッキーからいろいろなものをもらっている人は本当に多い。“ラブ”にしても“ライフ”にしても、時間がたてば飽きのようなものが出ることだってあるだろう。しかし彼が作る楽曲は、昔の曲をいま聴いても、決して色褪せることがない。