夫と子どもがいる主婦2パターン

●会社員の夫を持つパート主婦・C子さん(夫56・妻52)/子ども1人(21歳)
 パート収入は月6万~8万円ほどで扶養の範囲で働いている。大学3年生の子どもが1人。がん家系なので、医療保険を見直したい。

★夫とは別に契約し、自分の保険を持って

「C子さんの場合は万が一、夫に先立たれても一生、遺族厚生年金が支給されます。自分の基礎年金と合わせれば生活費としては成り立つため、老後資金は問題なし」

 見直したいのは医療保険。現在は夫が定期保険特約付終身保険に加入しており、その中におまけとして妻の保障もあるという状態。

「もしも夫が亡くなったら、妻の保障もなくなってしまいます。自分の保険は自分が契約者となって、自分で持っていたほうがいい」

 C子さんはがん家系ということもあり、がん保険に加えてオーソドックスなタイプの医療保険を。

「合わせて月約5000円なので、パート収入からも支払えます」

〈見直し前〉月額合計2万8000円
・定期保険の特約付終身保険……終身保険200万円//定期保険1800万円/入院日額1万円(妻の場合は日額7000円)

『入院 妻の場合は日額7000円』がムダ!

〈見直し後〉月額合計5002円 
医療保険……入院日額5000円/手術給付金5万円→月額2000円
・がん保険……診断給付金50万円/手術、抗がん剤、放射線治療 治療月に月額10万円/先進医療保障あり/(がんと診断されたら)保険料払込免除→月額3002円

 夫が加入している定期保険特約付終身保険のうち、妻の保障だけを解約。新たに妻の名義でがん保険医療保険に加入。「医療保険保険料が下がっているので、内容がよくて手ごろな価格のものがいろいろあります。チェックしてみて」

●夫婦で居酒屋を経営する・D子さん(夫58・妻56)/子ども1人(独立している)
 結婚後すぐに居酒屋を開業。24歳になる子どもは独立しているが、老後の金銭的な負担はかけたくないと思っている。

★介護費用もカバーしてくれる医療保障に

 老後の頼みの年金は国民年金で月6万5000円と心もとない。

医療保険を介護特約付きのものに変更するといいでしょう」

 例えば特別養護老人ホームに入居したと仮定し、介護諸費用をあわせて、月13万円ほど確保したいと考えた場合。介護年金特約50万円の保険であれば、要介護3以上の認定で年間50万円が一生涯支払われる。加えて、要介護1以上の認定で介護一時金として100万円がもらえる特約もプラス。不足分は年金と貯蓄でカバーすれば、子どもに負担をかける心配もなし。

「終身保険はそのままでいいと思います。子どもに残してもいいし、介護保障として移行しても」

〈見直し前〉月額合計1万6370円
・終身保険……死亡保険金200万円→月額5000円
医療保険……入院日額5000円/三大疾病一時金特約50万円→月額7000円
・がん保険……入院給付金1万円/診断給付金100万円/先進医療保障あり→月額4370円

『入院日額5000円』『三大疾病一時金特約50万円』がムダ!

〈見直し後〉月額合計1万5030円
・終身保険……死亡保険金200万円→月額5000円
医療保険(介護特約付き)……入院日額5000円/介護一時金特約100万円/介護年金特約50万円→月額1万30円

 老後不安を解消するため、介護に重きを置いた内容に。がんにも備えたいという場合は、がん保険も加える形になるが、「自営業者はイザというときに現金がないと困ることが多い。保険お金をかけるよりも、貯蓄を増やすほうが先決」

(取材・文/樫野早苗)


【PROFILE】
横川由理さん ◎FPエージェンシー代表、CFP(R)、証券アナリスト、MBA。保険商品に精通し、各誌保険ランキングの選考委員や辛口の指摘を行っている。『老後にいくら必要か?』(宝島)など著書多数。