日本選手権で“新技”解禁へ
「羽生選手がずっと叶えたい夢、世界初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を本番で披露する目処がついたようです。多くのファンに自分の進化を見せ、元気づけたいと思ったのではないでしょうか」(フィギュア専門誌記者)
ライバルの動向も刺激になったようだ。
「11月初旬にアメリカのネイサン・チェン選手が4回転半ジャンプを練習する動画がSNSで公開されたんです。着地に失敗していましたが、大きな話題になりました」(同・フィギュア専門誌記者)
羽生は本当に4回転半ジャンプを披露してくれるのだろうか。スポーツライターの折山淑美さんに話を聞いた。
「披露してくれればうれしいですね! 完成に近づいているはずですから、プログラムの構成によってはありうるのかもしれません。が、実際に挑戦する可能性は低いでしょう。最後に出場した四大陸選手権ではショートプログラムもフリースケーティングも素晴らしい演技でしたが、“自分らしいものになったなと言えるように滑りたい”と課題をあげていました。4回転半に挑むのは、同じプログラムに挑戦し課題を解決してからなのではないでしょうか」
全日本選手権に出場すること自体が難しい決断だった。
「日本では細心の注意を払いしっかりと感染対策をしたうえで大会を開催しています。幸い、感染者は出ていません。リスクがないとは言えませんが、羽生選手は出るべきだと判断したのでしょう。来年3月にスウェーデンで行われる予定の世界選手権への切符を実力でつかみたい思いもあるはずです」(折山さん)
羽生にはトップスケーターとしての責任感もある。今回の世界選手権は、2022年に中国・北京で開かれる冬季オリンピックの出場枠数を争う場でもあるからだ。
「最大の3枠を勝ち取るためにも出場したいと思っているはずです。もちろん、ファンの期待に応えたいという気持ちも大きい。誰もが氷上の羽生選手を見たいですから。エントリーしたということは、今後は練習時間を増やして演技の質を高めることに集中していくでしょう」(折山さん)