80歳近い母親といつも一緒

 生活には困らないが無為に過ごすなか、容疑者の心の隙間を埋めたのは競馬と激しいギターサウンドだった。

「競馬は“これが来るよ”と予想してくれた」(知人)

 別の知人は、

「ヴァン・ヘイレンやイングヴェイ・マルムスティーンなど洋楽ハードロックが好き。引きこもりだと聞いていたので、意外な感じだった。(10月に死去した)エディ・ヴァン・ヘイレンの話をしたら、“残念だね”程度で、あまり盛り上がらなかったけれど」

 さらに、マザコンぎみだったことも証言する。

「彼はよく“母親が昨日の夕食は○○を作ってくれた”“今日の昼は××を作ってくれた”と話していました。

 お母さんはひざが悪いので、病院へ付き添うことも。彼は彼なりに80歳間近い母親を守るという意識がある。だから、いつも一緒。異様なくらいにベッタリなんです」

母親を直撃すると

 最終的に容疑者は犯行を母親に相談して、一緒に交番へ行った。

「逮捕の前日にお母さんを見かけたら、いつも元気なのに目の下にクマができていた。

 報道された防犯カメラの映像で息子だと気づいたのか、それともすでに相談されて眠れなかったのか……」(同・知人)

吉田容疑者が母親とともに出頭した自宅近くの交番
吉田容疑者が母親とともに出頭した自宅近くの交番
【写真】容疑者が暮らす事件現場近くの立派な実家マンション

 容疑者の逮捕から5日後の夜、その母親は、

「引きこもりですか? いえいえ、そんなことはありませんよ。……ないです。なぜ、あんなことをやってしまったのか? うーん……わからないです……」

 そう記者に言いながら、息子に代わり近所の配達を終え、トコトコと台車を押し続けていた。