ということは、コロナ不況が本格化しはじめている今も探偵業は活況なのか?
「たしかに不倫調査の依頼者数は男女とも増えているのですが、コロナによって探偵が強いられている困難もいくつかあります。まず、ほとんどの人がマスクをつけるようになって、調査対象者の顔を見分けるのが困難になりました」
と答えてくれたのは、総合探偵社『AMUSE』の榊原さんだ。オフィスビルから大勢が同時に出てくるような場面で、調査対象を目元だけで見分け、後をつけるというのはたしかに難しそうだ。
「また尾行中だと、商業施設やホテルの入り口で“体温を計測します”“手を消毒してください”などと、スタッフが話しかけてくることが増えました。これは非常にやりづらい。特にビデオカメラを構えているときは非常に困りますね」(榊原さん)
なるほど、探偵には探偵の苦労があるようだ。
さて、ここからは、榊原さんに聞いた“ガチの妻たちの不倫現場”の話を紹介していきたいと思う。
ケース(1)『レンタルルームの恋』
結婚9年目、8歳と3歳の子を持つ41歳の妻の仕事は、マッサージサロン経営だった。コロナ以降、妻は夫に、
「コロナの影響で客足が落ちてしまって大変なの」
と漏らしていたが、仕事は順調そうに見えた。なぜなら妻は仕事で家を空けることが多かったから。だが実は、妻はベッドつきのレンタルルームで男と密会していた。
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そんな説明書きのあるレンタルルームをラブホテルがわりに、不貞行為を繰り返していたのだ。行為の場所がホテルでなかったのは“ママ会で利用した”などと言い訳がしやすいと踏んだのだろう。
探偵が尾行したところ、サラリーマン風の男とともに雑居ビルの中のレンタルルームに入り、数時間後に一緒に出てきたという。
「依頼者は浮気をしている証拠として、妻がSNSで男とやりとりしているスマホ画面を撮影してきた。だから尾行は楽でしたが、探偵としてはそこまではしてほしくないというのが本音です。調査が奥さんにバレる可能性が高くなりますからね」(榊原さん・以下同)
しかも、この男性の場合、資金不足の理由で1回だけの調査で終わってしまった。そもそも不貞行為は肉体関係があることが条件になる。お茶をしただけでは不貞とみなされない。とはいえ、セックスの現場を直接おさえられるケースはまれだ。
そのため、“肉体関係があってもおかしくない状況に複数回なった”という証明が必要になる。このケースの場合、不貞行為と認められるかどうかは微妙なところだという。妻の不倫を証明するのにもやっぱり、お金がかかるのだ。