では、まじめな話、彼女はなぜ不倫を許せるのか。それは彼女にとって、宮崎が夫というより、息子のような存在だからだろう。『許すチカラ』では宮崎について「純粋すぎる」「人を信用しすぎる」と語っており、また「(自分を)母親にさせてくれたことへの感謝があった」とも書かれている。
彼女はそんな子どもみたいに危なっかしい夫が可愛くてしかたないし、結婚して、親にしてくれてありがとうという気持ちでいっぱいなのだ。
そのぶん、彼女の怒りは宮崎以外へと向かう。今回の不倫について、相手女性への法的措置を検討するという話も飛び出したが、要は「私の可愛い」夫を誘惑した女が許せないのかもしれない。
それにしても、逆にこれから彼女が不倫をしてしまう可能性はないのか。
そのとき、宮崎バージョンの『許すチカラ』が出版されたり、あるいは、彼女が『許されるチカラ』を書いたりするのだろうか。
とまあ、再び茶化す感じになったが、所詮、不倫は他人事で、当事者だけの問題だ。にもかかわらず、渡部は不倫タレント救済番組『ガキ使』の大みそかスペシャル(日本テレビ系)ですら復帰を許してもらえない。そんなシビアすぎる状況のなか、どこ吹く風と異彩を放っているのがこの夫婦なのである。
今後もぜひ、不倫を笑いに変え続けてほしい。
PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。