作品のおかげで、一気に生きやすくなった

 1度見たら忘れられない顔、それも役者にとっては大きな武器だ。昨年亡くなった斎藤洋介さん(享年69)も“モアイ顔”と呼ばれた独特の風貌で怪演を連発した。出世作は『1年B組新八先生』(TBS系・'80年)での美術教師役。'90年代には、野島伸司が手がけたドラマで重宝された。

1度見たら忘れない、顔のインパクトが強烈な嶋田久作
1度見たら忘れない、顔のインパクトが強烈な嶋田久作
【写真】ドラマや映画で主役よりも目立つ“名脇役”、あなたは何人知っている?

 似たタイプに、嶋田久作(65)がいる。'88年公開の映画『帝都物語』では「魔人・加藤」役で、絶大なインパクトを与えた。

 そんな“顔が命”系の個性派たちに最近加わったのが、女優・どんぐり(60)だ。若いころに抱いた芸人への憧れを断ち切れず、50歳で吉本興業の養成所に入所。

 その後、芝居の道を志し、'17年に公開された映画『カメラを止めるな!』でブレイクを果たした。

 監督はこの映画で“生きづらそうな人”を出演者に選び「みんなの次につながるように」と脚本を書いたという。

実際、あの作品のおかげで、私は一気に生きやすくなりました。ずっと、生きづらかったですよ。背が低くて、目が小さくて、声はこんなんやし。自分の声を初めてテープで聞いたときは愕然として受け入れられなかったです」

 と、本人も感謝しきり。いまや、その顔や声が何よりの持ち味だ。

『ふぞろいの林檎たち』の谷本綾子役でブレイクした中島唱子
『ふぞろいの林檎たち』の谷本綾子役でブレイクした中島唱子

 そんな女優は、ほかにもいる。『ふぞろいの林檎たち』(TBS系・'83年)でデビューした中島唱子(54)だ。きっかけは「容貌の不自由な人を募集しますというオーディション

 その後、ダイエットもしたが、庶民的な芸風は健在だ。『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)でも長らくレギュラーを務めている。

 また、片桐はいり(57)も独特なルックスと存在感で長年、活躍中。年末に公開されたのん(元・能年玲奈)の主演映画『私をくいとめて』にも出演している。

 ちなみに、片桐が注目されたのはコンタクトレンズのCMだった。CMはインパクト重視なので、個性的な容姿やキャラの役者にとっては登竜門的なところがある。英会話学校のCMで流暢に英語を話す“鈴木さん”を演じた山崎一(63)、引っ越し会社のCMキャラで「勉強しまっせ♪」と印象的な歌を歌った徳井優(61)らが代表格だ。

 最近では、元キングオブコメディの今野浩喜(42)もCMに救われたひとりだろう。相方の不祥事でコンビを解散したあと、俳優業が中心になった。消費者金融会社のCMで、大地真央に「今野!」と呼び捨てされ続けることの宣伝効果はかなり大きい。刑事モノではやたらと見かける印象だが、本人はこんな希望も。

「刑事ドラマでいうと全ジャンルを網羅していて。刑事役、殺される役、殺人事件の犯人、犯人だと思わせる役、とか(笑)。だから刑事ドラマなら刑事の上役とか、ちょっとふてぶてしい感じの役をやってみたいですね