コロナで病院がいっぱいだったことが影響

 今回の事故で、光太くんの父親が「病院をたらい回しされた」「着くまでに40分かかった」と証言する報道も。週刊女性が取材した関係者も、

「救急車が最初に事故現場から車で5分ほどの国立病院に行こうとしたところ、断られたと。そのあと、いくつの病院に断られたのかはわからないですが、最終的には世田谷区ではなくて、品川区の大学病院までわざわざ30分かけて行ったようです。

 光太くんが亡くなったあと、警察は“コロナで病院がいっぱいだった影響が大きかった”と遅れた原因を話していたそうです」

 日本の病院までの救急搬送にかかる平均は約40分東京都はワースト1位の約50分というデータもあり、遅すぎたとは言えない。

 しかし、世田谷区内には15の救急医療機関があるので、少しでも早く運ばれていれば、光太くんの命は助かった可能性も。

 今回のような救急搬送時の仕組みを東京消防庁に聞くと──。

「東京都の救急の際は、大手町と多摩にある災害救急情報センターという司令室が、救急車にどの病院に行くべきか指示を出します。

 その場合、もちろん近場ということもありますが、受け入れ可能かどうかを優先する場合が多いので、その区だけではなく、近隣の地域も対象となります

正月とコロナ、不運すぎた状況

 救急医療に詳しい労働者健康安全機構理事長で、昭和大学名誉教授の有賀徹さんは今回、2つの不運があったと説明する。

「ひとつは正月で医療機関の人手が最も少ない時期だったということ。もうひとつは、新型コロナウイルスの影響もあったと思います。

 ICU(集中治療室)では通常は1人のナースが2床を診ますが、コロナの重症者の場合は1人のナースが1床を診ることになっていて、人手がかかります。となると、人員がひっ迫して、他の治療を妨げてしまいます」

 特に年末から東京で猛威をふるっていて、1月3日だけで816人の新たな感染者を出していた。世田谷から少し離れているが、港区の都立広尾病院でも救急患者の受け入れを制限していることも報じられた。