シンママが欲しいのは目の前の10万円じゃない

 では元夫に「3か月で1億円使わせた」などの“お金好き”発言も炎上商法的な演出なのか。聞いてみると「お金持ちが好きなのは本当です」と素直に明かした。

でも、お金を稼ぐ能力も男性の魅力の一つだと思うんです。生活にお金はそもそも必要ですし、稼ぐイコール仕事ができるというイメージも私にはある。自分より稼いでくれる男性でなければ尊敬することができない。ただしお金持ちでも、私にお金を使ってくれない人は私にとって“お金持ち”ではない。億万長者じゃなくても1000万円のうち100万円でも私に使ってくれたら“お金持ち”です

 それまでの恋愛に“お金”は重要だった加藤。ただ'19年に結婚した元夫に関しては「お金が原因とはいっていますけど、本当のところは彼の束縛が、私にとって重すぎて疲れてしまったという面が大きい」と話す。

 また先日は、交際中だったいわくつきの男性との破局でも話題になった。報道では交際相手が元詐欺グループの中心メンバーだったとのことだが、加藤は「それも事実でした」と認めた。

「今の私は娘が本当に大切。娘を一番に考えたときに、娘のことを本当にすごく考えてくれる人、娘にとってのいいお父さんという部分で交際させていただいたんです」

 この説明には理由もある。この男性と出会う前に交際していた男性が、彼女だけとの時間を重視し、娘と一緒に逢うのを好まなかったからだ。「今の私のすべては娘」。加藤は娘が生まれて“母”へと変わった。そして現在はシングルマザーを支援するシェアハウスを作ろうとしている。

当事者になると、シングルマザーたちの悲しいニュースが耳に入ってくるようになったんです。当時は子どもを(過失や虐待で)亡くしてしまった彼女たちのことを“最低な母親じゃん”と思っていました。でも間違っていた。例えば、好きになった男性が“子どもと一緒じゃ嫌だ”といったとするじゃないですか。

 シンママとしては“この人を失ったら結婚できないかも”“じゃ子ども置いてくるね”みたいになっちゃう人も大勢いるんだろうなと。そう思うと辛くなった。子どもと女性は男性からしてみれば“弱者”。そう思った時に“わああ”となり、見返すために起こしたのがこのシェアハウスプランだったんです

 そして彼女は「賛否両論あると思う」と続ける。常に動向がメディアやSNSで叩かれる彼女ならではの洞察だ。今も彼女が何かするたびに炎上騒ぎが起こる。知人から「インスタのコメント欄を閉鎖したら?」とも勧められる。だが「誹謗中傷で自殺も何度か考えました。でも加藤紗里というキャラからしたら、閉鎖することは“逃げだ”と思っている。だから絶対に閉鎖しない」とブレない。

 最後にその加藤紗里の“キャラ”で、今後についても話してくれた。

シングルマザー&シングルファザー1万人に現金10万円を配布する基金などを作られている方もいます。素敵な試みに思えますが、シンママが本当に欲しいのは目の前の10万円じゃない。では来月は? その先は? 当事者からいえば、欲しいのは“安定”なんです! お金を持っている方はお金を配るのではなく、どんどん私のシェアハウスのような企画の真似をして欲しい。それが広がって文化にまで昇華してくれれば……。私はそう願っているんです

 時折、涙で言葉を詰まらせながらも語ってくれた加藤紗里。“お騒がせモンスター”などと異質扱いされているが、その言葉にしっかりと耳を傾けてみれば、自分の心に正直で、過去に深く傷つき、娘を溺愛する一人の母親だった。もちろん多少エキセントリックではあり、それが彼女らしさでもあるのだが、そんな当たり前に気づかせてくれる好例が加藤紗里といえないだろうか。

【インタビュー後編】に続く

(取材・文/衣輪晋一)