auのpovoやソフトバンクのSoftBank on LINEでは、オンラインでダウンロード可能なeSIMが用意されている一方で、ドコモのahamoは現時点でeSIMへの対応を明言していない。iPhone XS以降のiPhoneはeSIMに対応しているが、ahamoを選ぶときや、古いiPhoneを使っている人は、SIMカードの到着を待つ必要がある。
また、サポートは原則してアプリやサイトを通して行われる。設定などがわからなかったときにショップに駆け込むことができない。チャットや電話などで解決できるトラブルはいいが、端末が故障したり、SIMカードを紛失してしまったときなど、物理的なモノが関わるときには少々面倒になりそうだ。代替となる端末や回線を、すぐに自分で調達できるようなスキルが求められる。確かに料金は安いが、トラブルが起こった際の想定はしておいたほうがいいだろう。
「家族」の料金が高くなる可能性がある
ドコモはahamoを、auはpovoを“料金プラン”と銘打っているが、実態を見ると別の通信事業者に近い。ソフトバンクはSoftBank on LINEをソフトバンクやワイモバイルと並ぶブランドと位置づけているが、これが正しい見方と言えるだろう。提供されるサービスには違いがあり、たとえば、「docomo.ne.jp」や「au.com」などのいわゆるキャリアメールは利用できなくなる。
見落としがちなのが、家族割引だ。ドコモ、KDDI、ソフトバンクとも、既存の料金プランでは、家族で契約することで500円から2000円程度の割引を受けることが可能だ。ただし、これはあくまで通常の料金プランで契約した場合。povo、SoftBank on LINEはこれとは別建てになってしまうため、家族割引の対象から外れてしまうことになる。自分の料金プランが安くなる一方で、妻や子どもの料金が上がってしまうというわけだ。
たとえば、家族3人全員がauで、夫婦のどちらかが大容量プランを、もう一方と子どもが小容量から中容量の段階制プランで3GB程度使っていたとする。この場合、3月からの新料金プラン「使い放題MAX」で大容量プラン側は6580円になるが、家族割引で料金は5580円まで下がる。同時に、段階制プランの「ピタットプラン」を契約している残り2名も、各4480円の料金から、1000円割引(3人の場合、2人の場合は500円割引)になるため、料金は3480円、2回線で6960円になる。3回線合計した料金は1万2540円だ。
この中で大容量プランのユーザーがpovoに切り替えると、料金は5580円から2480円へと3100円下がる一方で、残り2人の料金が500円ずつ高くなってしまうため、トータルでは2100円しか安くならない。安くなるぶんにはいいが、それぞれの財布から支払いをしているときにはもめごとにもなる。家族割引のグループから抜けることは、家族であらかじめ相談しておいたほうがいいだろう。