しかし、バブルは1991年に崩壊。しばらくはその余熱が残ったが、しだいに世の中は閉塞していき、毒舌がまたウケるようになった。

 というより、黄金時代が訪れる。その担い手が前出の第1世代だ。

 1997年には『快傑熟女!心配ご無用』(TBS系)という人生相談番組がスタート。和田アキ子が司会で、野村沙知代さんら海千山千の熟女タレントたちがレギュラーに顔をそろえた。特にサッチーは「男性にモテない」と悩む一般女性に対し「あなた、ワキガ?」と聞くなど、やりたい放題だったが、衆院選に担ぎ出されるほどの人気を得た。

 そんな毒舌界の女帝というべきサッチーに、果敢と立ち向かった若手もいた。神田うのだ。

2005年8月、『高須クリニック』の美容イベントに出席した野村克也さん、沙知代さん夫妻
2005年8月、『高須クリニック』の美容イベントに出席した野村克也さん、沙知代さん夫妻
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 1998年には、サッチーがうのをビンタするという騒動も勃発。不仲だったふたりを共通の知人である美川憲一がとりなし、仲直りさせようとしたところ、

「あんた、ちょっと叩かせなさいよ」

 と言って、頬を叩いたのだという。ちなみに、不仲となった原因は、サッチーの夫・野村克也さんが監督を務めるヤクルトのエース・石井一久(現・楽天GM兼任監督)と、うのが交際していたこと。サッチーはそれをよく思わなかったのだ。プロ野球が絡んだことで世の男性の関心も集め、このバトルはワイドショーやスポーツ紙をにぎわせた。結局、石井投手とは2年半で破局となったが、うのはそのさい、

「目の上のタンコブがいなくなって、彼女的にはよかったんじゃないですか?」

 と、サッチーを皮肉った。

ギャルに説教した鈴木その子さん

 このふたりの関係はある意味、嫁姑の構図にも通じるもの。数年後には、第1世代の毒舌女性と若手による現実の嫁姑バトルも注目された。和泉節子と羽野晶紀だ。

 また、熟女と若手といえば“美白の女王”鈴木その子さんがガングロギャルを説教するというテレビの企画でブレイク。これらの騒動はいずれも、年配女性たちのたくましさを強く印象づけた。

 さらに第1世代には、政界で人気者になった人もいる。田中眞紀子だ。1998年には自民党総裁選に立候補した小渕恵三、梶山静六、小泉純一郎の3人を「凡人、軍人、変人」と形容して、話題に。こうした芸風(?)がウケて、のちに女性初の外務大臣にまで上り詰めた。

 ただ、彼女の毒舌はまさに諸刃の剣であり、首相になった小渕が重病に倒れたときには「オブチさんがお陀仏になっちゃった」と発言して、ひんしゅくを買ったりした。最終的には人気を失い、2012年に落選して今では「ただの人」である。