友人夫婦に会わせて、外堀を埋めようとした!?
幸恵さん(33歳、仮名)は、雄介さん(36歳、仮名)と交際して2か月が経ちました。2人は、相談室には内緒で2泊3日の旅行にも出かけていたようで、まだ真剣交際には入っていませんでしたが、それを飛び越えて、成婚退会しそうな勢いでした。
結婚相談所には、“男女の関係になったら、成婚と見なす”という規約があります。それは、相談所を男女の遊び場にしないための抑止ルールです。ただ、大人の男女ですから、そこはお互いが納得づくなら誰も止めることはできません。それで結婚できなくても、そこは自己責任です。
その旅行から帰ってきてからというもの、「なんだか雄介さんの態度が以前よりもそっけなくなった」と幸恵さんは感じていました。幸恵さんは、旅行をして男女の関係になって以来、雄介さんのことがますます好きになっていましたから、彼の気持ちが冷めてしまったのではないかと、心配でした。
その心配は的中、それから間ものなく、雄介さんの相談室から『交際終了』がきたのです。
私はびっくりして、雄介さんの相談室に電話をしました。仲人さんは、二人が旅行に出かけていたことは知りませんでした。
「そうだったんですね。それは規約違反ですし、旅行にまで行っておきながら、ここで交際終了にするなんて、女性に失礼ですよね。終了の理由をもう一度ヒアリングします」
そして、翌日、お仲人さんからご連絡がありました。
「前々から気になっていたようなんですが、幸恵さんは、食事をごちそうしても『ごちそうさま』を言ったり言わなかったりで、旅行に行ったときは、一度も、『ごちそうさま』を言わなかったそうです。さらに、途中コンビニに立ち寄って飲み物を買っても、お金を払うのはすべて彼で、旅行中に一度もお財布を開かなかったというんです」
旅行中は、3食一緒に食べますし、ずっと行動をともにしている。男性におんぶに抱っこのちゃっかりした態度に、旅行を終えて、気持ちが冷めてしまったのです。
さらに、旅行から帰ってきた次の週末に彼女の家の近くのイタリアンレストランにランチに行ったときのこと。
近所に住んでいるという彼女の女友達とそのご主人がいて、4人で食事をしていたそうです。
「彼が言うには、偶然そこにいたような説明だったけれど、『どうも仕組まれていたのではないか』と。旅行から帰ってきて以来、本当に幸恵さまとの結婚でいいのか考えるようになり、連絡も自分からはマメに入れなくなった。『友達夫婦を会わせることで、外堀を埋めるといいますか、結婚をより具体的に前に進めようとしたのではないか』と申しておりました。ただそれをされたことで、気持ちがより冷めてしまったようなんです」
交際終了が来たことと終了理由を電話で告げると、幸恵さんは言葉をつまらせ、涙声になっていました。そして、言いました。
「お金をすべて出させていたというのは、私が、『ここは、私が払いましょうか』と言うと、いつも、『あ、いいよ、いいよ』と言っていたので、それに甘えていました。『ごちそうさま』を言ったり言わなかったりしたのは、自分では全く意識していなかった。旅行のときは、“もう一緒に泊まる関係になった”と思って、気が緩んでしまいました。親しき仲にも礼儀あり、ってことだったんですね。
あと、友達夫婦がいたのは、本当に偶然で、私が仕組んだことではありません。あの日、結局4人で食事をしてお店を出たんですが、その後に彼が不機嫌だったのは、私に“仕組まれた”と思ったからなんですね」
亮さんが彼女と“結婚したい”と思っていて、そこで友達夫婦を紹介されたのなら、自分が婚約者と認められたようで、逆にうれしかったでしょう。ところが、結婚に迷い出したときに紹介されたので、気持ちが大きくマイナスの方向に振れてしまったのです。