別の病気の可能性もある

 そのほかパーキンソン病の人によくある症状としては、「数年前から、においに鈍感になった」「便秘や頻尿になった」「眠れない」「気分が落ち込む」といったものもある。

「いつもと違う症状があれば、簡単でいいので、それがいつから始まったのかメモしておくと診察に役立ちます

【初期症状でわかるパーキンソン病チェックシート】
※特に最初の3点は典型的な症状なので、「おかしい」と思ったら脳神経内科へ。
□動作がゆっくりになった
□手足が震えるようになった
□手足などが動かしづらい
□転びやすくなった
□40代、50代なのに動きが高齢者っぽい
□においに鈍感になった
□便秘、頻尿がある
□なかなか眠れない
□声が小さくなった
□気分の落ち込みや不安がある
□幻覚や妄想などの症状がある

 もちろん、こうした症状がある人すべてがパーキンソン病とは限らない。

「パーキンソン病に似た症状の、別の神経性の病気もあり、効く薬がなかなかなくて治療に苦労することも。それから、脳梗塞など、ほかの病気が原因で症状が起きることもあります。頭部をMRIで撮るなどして、ほかの病気の可能性がないかもしっかり確認しなくてはなりません」

 ほかの病気がないとなると、パーキンソン病の可能性が高まってくる。

「以前は、とりあえずパーキンソン病の薬を使ってみて、明らかに効果が出れば“これはパーキンソン病ですね”と診断していました。ただ、ここ数年は、MIBG(心筋シンチグラフィー)やDATスキャンといった機器を使って、より確実に診断ができるようになっています

【パーキンソン病と診断されるまで】
〈症状〉動作がにぶい+こわばりやふるえがある

1〈パーキンソン病と診断される例〉
・ドーパミン補充の薬が効く
・においがしない
・DATSCANなどの画像検査で異常がみられるなど
 ↓
症状のほか、薬の効き具合をチェック。画像診断で心臓の交感神経の働きの低下や、脳のドーパミンの働きに異常がみられると確定診断が下される。

2〈パーキンソン病除外の例〉
・薬によるパーキンソン病に似た病状
・3年以上続く下肢のみの病状
・小脳の障害など
 ↓
脳血管障害や脳腫瘍、頭部のケガの後遺症などでも似たような症状が出る。また、症状はパーキンソン病にそっくりなのに、薬が効かないパーキンソン病関連疾患もある。