役割を与える“親孝行プレー”
親自らが正確な情報を知ることができないならば、先のようにコミュニケーションをとりながら、子どもたちが教えてあげればいい。前出の山下さんは、不安になっている親に対して、「役割を与えてあげると、キャッチボールが円滑になる」と助言する。
「家の中、社会の中に、自分の役割がないと人はどんどん不安にかられ、余裕がなくなります。帰省ができない中、親から『何か送ってほしいものはない?』と聞かれたとします。その際、遠慮して『特にないかな』などと返すのではなく、『地元でとれた〇〇を送って』などと返してみてください。『そんなのでいいの』『面倒ねぇ』なんて言いながらも、親は必要とされていることにやりがいを感じます」(山下さん)
先述したように、無力感を与えるのはご法度。かわりに、役割を与えるべし。
お手製で布マスクを作っている親がいるなら、「不織布じゃないとダメでしょ」などと言わずに、「こっちにも送ってよ。なんだったら周りにも配るからさ」と話してみるというわけ。
「親は、『〇〇は大丈夫?』、『△△は足りている?』という具合に、言葉の端々にサインを送っている」と山下さんが指摘するように、役割を与えるということを意識しつつ、ゲーム感覚で話してみるといいかもしれない。
かつて、漫画家のみうらじゅんは、親孝行をゲーム感覚で楽しんでみるという“親孝行プレー”という造語を生み出したが、コロナの今こそ肩ひじ張らずにプレー感覚で親と接するのも有効な手段といえそうだ。
そして、親御さんご自身は、「自分のしたいことを改めて見直す機会としてとらえてみてほしい」という石原さんの言葉を参考にすると心が軽くなるはず。