東日本大震災から10年。特別な思いで迎えているのがフィギュアスケートの羽生結弦選手だ。
被災地や被災者に寄り添う羽生結弦選手
当時、16歳の羽生選手は故郷・仙台市にあるアイスリンク仙台で練習中に被災、避難所生活を送った。練習リンクは大きな被害を受けた。「このままフィギュアスケートを続けられるのか」。不安を抱えていた。
震災前年にジュニアのグランプリファイナルと世界選手権を優勝。次代のエースとして期待が集まるなか、羽生選手は練習環境と復興支援目的のために全国のアイスショーに出演して競技を続けた。
17歳からは拠点をカナダに移したが、アイスリンクの復興支援キャラクター「アイリン」の手袋をはめて練習してPRにひと役。人気となり品切れになるほどだった。
折々には被災地や被災者に寄り添う発言をしている。
19歳でソチ五輪金メダルに輝いた際は「希望であったり、みなさんの応援の象徴になったらうれしい」
平昌五輪では66年ぶりの連覇を達成。快挙に仙台で凱旋パレードが行われ、国民栄誉賞を受賞した。「まだまだ復興に課題があるなかで、手助けになるような行動をしていきたい」
“共に、前へ”の思いを伝える展覧会
10年の節目に『羽生結弦展 共に、前へ 東日本大震災 あの日、そして今』が仙台で26日から開催(事前予約制)されている。東京での開催はすでに終了し、仙台のほか今後は大阪、宮崎を巡回する予定だ。
“共に、前へ”踏み出せるようにと願う羽生選手の思いを伝える展覧会で、「羽生選手自身の避難所での体験や被災地で出会った人たちとの“あの日”と“今”を伝えるとともに、震災の風化が進むなかで、改めて震災について考え、防災への意識を高める機会になればと思います」と関係者。
会場入り口には「自分が持っているものを一生懸命やるっていうのが、僕の勇気の出し方かな」と羽生選手のコメントが紹介されている。