“近ごろ背中が丸くなってきた”は、背筋が衰えてきたサイン。中には圧迫骨折が猫背の原因になっていることも! 背筋が伸びる簡単ストレッチ事を紹介します。
「コロナ禍でテレワークや自宅での動画視聴が増加。前かがみのまま動かない時間が多くなり、猫背の人が増えることを懸念しています」
と話すのは、東京慈恵会医科大学附属病院副院長の安保雅博先生。
油断するとつい背中が丸くなる人は、まず正しい姿勢をチェック。立った状態で両腕をまっすぐ上げ頭を挟むようにしたら手のひらを外側に向け、ひじを伸ばしたまま腕を下ろすと背筋が伸びた状態になる。
「その姿勢を保ちながら10分ほど歩ければ合格。下肢の衰えも関係しますが、40代でもその姿勢で歩きにくかったら、猫背が進みつつあるといえます」(安保先生、以下同)
そもそもどうして背中が丸くなってしまうのか。1つ目のカギは背筋力にある。
「背筋は体重の8%程度を占める重い頭を支えながら、背中をまっすぐにする働きも担っています。しかし筋力が衰えると背筋は頭を支えるだけで精いっぱい。重力に負けて猫背になってしまうのです」
もうひとつの要因は骨粗しょう症による背骨(脊椎[せきつい])の圧迫骨折。加齢で骨がもろくなると、椎体[ついたい](背骨の前方にあり、背骨を構成する骨の1つ)が、尻もちなどの簡単な外力で押しつぶされる骨折を起こしやすくなる。残念ながら、椎体は前方が陥没したまま固まって治るため背中が曲がってしまうのだ。
「治療しないと1年以内に2~3割の人が新たな圧迫骨折を起こすドミノ倒し状態に。6割は痛みがない脆弱性骨折なので、気づかない間に背中が丸くなるのです」
特に中年以降の女性は、閉経で骨密度が急激に下がるため骨粗しょう症になりやすく注意が必要だ。