利害関係者以外におごられるのはルール上、問題ないが、

「仕事上の情報収集や意見交換の場でも割り勘を徹底していましたね。でも、この感覚は僕が特別ではなく、みんなそうなんです」

 今回の問題に対して、多くの官僚が憤っているという。

「今の若い官僚たちは、接待とはまったく無縁の世界で真夜中まで働いています」

 接待を受けている暇がないほど多忙を極める官僚も多くいるという。

「霞が関の働き方がブラックであることを説明するのはいつも苦労します。それは、どれくらい長時間労働なのかを証明するデータがないから」

超過勤務時間が月378時間!

 人事院が公表している本府省(いわゆる霞が関)の職員の残業時間は年間360時間程度。月の平均は30時間程度になるが、

「この数字は本当の残業時間ではなく、残業代が支払われている時間です。サービス残業が常態化しているんです」

 千正さんは当時の残業時間を振り返ると、

「僕は忙しい部署にいたのですが、普通の時期で過労死ラインとされる月80時間の残業。まあまあ忙しい時期で月120時間くらい(毎日終電で土日は休んでいるくらい)、いちばん忙しい時期は月200時間を超えていたと思います」

 5日、政府は内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室(以下、コロナ室)の職員100人の超過勤務時間を発表。緊急事態宣言を再発令した1月は平均約122時間、最も長い職員は約378時間にのぼった。民間企業なら完全に違法だ。

「そもそも内閣官房とは、各省に所属する官僚たちが集まって構成されています。しかも、コロナ室は感染症対策なので厚労省の人が多いし、厚労省も異常な状況で人が倒れています。みんなそんな過酷な状況で頑張っています」

 世間が持つ官僚へのイメージは高給取り。“それでも結構もらっているんでしょ”という声が聞こえてきそうだが、

「僕の時代でいうと、30歳のキャリア官僚は額面で年収700万円くらい。これは基本給、諸々の手当、残業代、ボーナスを合わせた数字です」

 一般的に見ると、決して安くはないのかもしれないが、

「官僚になる人は、みんな一流大学出身です。同級生たちは誰もが知っている一流企業に勤めていて、30歳で年収1000万円以上も珍しくない。僕は同級生の中で給料がいちばん安かった」

 “だからといって給料を上げろと言いたいわけではない”と千正さん。

「サービス残業はさすがにひどいだろうと。適正な処遇をしてほしいです」