夜景をバックに、大きなグラスを手に持ち、時折こちらを見つめ、はにかみながら、松本まりかが歌う。「はじめて〜の〜チュウ〜きみとチュウ〜♪」

 いま、そんな『鏡月焼酎ハイ』のCMが物議を醸している。

再び注目
「間接キッス、してみ?」

 彼女の持ち味でもある“あざとさ”を前面に押し出した演出に、ネットはザワザワ。「色っぽくてイイ」「めちゃくちゃ可愛い」とファンから喜びの声が上がる一方で、 「イライラする」「流れた瞬間、ミュート」「歌下手すぎ」と酷評も。意見は真っ二つ、好き派・嫌い派で論争が巻き起こっているという。

 そして今回の件で再び注目を集めているのが、数年前に放送されていた、同じく『鏡月』のCM。石原さとみが「間接キッス、してみ?」と飲みかけのグラスを差し出す、あのCMだ。妄想を掻き立てるシチュエーション&セリフに悶絶する人がいる一方で、当時も一部の人からは“あざとい”“やりすぎ”などと、反感を買ってしまった。

 “コレ系”のCMは、いったい何が引っかかるのか。あざとさ? それともーー。

「松本さんのCMにしろ、石原さんのCMにしろ、誰に向けた視点かといえば、男性に向かって言っている設定。男の目線を意識している設定が“あざとい”ってことであり、決して彼女たちが“あざとい”わけではないですよね」

 そう話すのは、週刊女性PRIMEの人気連載『オンナアラート』でもおなじみの、コラムニスト・吉田潮さん。

『はじめてのチュウ』を歌う松本まりか(YouTube、サントリー公式チャンネルより)
『はじめてのチュウ』を歌う松本まりか(YouTube、サントリー公式チャンネルより)

私は松本さんのCM、普通にかわいいなって思いますよ。ただ、ほろ酔いの女の人が舌足らずな感じで歌っていたり、縁側でホッコリ酒を勧める姿が、“男性が求めているもの”って感じで、その狙いが透けて見えたとき、“なんかイヤ”と思う人もいるんじゃないかな。

 私は檀れいさんの『金麦』のCMがあんまり好きじゃなかった。あれなんかモロに“飯作って待ってる、いい奥さん”的なものが前面に押し出されてたから」(以下同、吉田さん)

 そんな中、これらCMに批判的な意見を上げているのは女性で、“女性の嫉妬”がそうさせている……なんて声も聞こえてくるが、これについては、

女の敵は女じゃないっていうのは、女性はみんなわかってますよ。なのに、松本さんと石原さんがあざとくて、それに対して女がみんな嫉妬してるんだろうって、そういう構図を楽しむ人たちが、ムカつくって話ですよね」

 とバッサリ。そもそも、“あざとい”の意味も、女性たちの間では変わってきているのでは、と吉田さん。

「ちょっと前まではあざといって毛嫌いされたものだけど、最近は『あざとくて何が悪いの?』って番組があるくらいだし、あざとい=かわいい、みたいな。小林麻耶とか田中みな実とか、彼女らはあざとさを武器にのし上がってきたわけだし、もはやあざとさは“芸”の一つ。あざといから嫌われる、という風潮でもなくなってきた気がします」