特に筆者の記憶に強く残っているのは、2018年8月に『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)に出演したときのこと。まだ交際前の南海キャンディーズ・山里亮太と蒼井優が偶然共演していたことで神回と呼ばれた放送回でした。

 前述したとおり、矢口はこの年の3月に不倫相手だった現旦那と再婚しているのですが、『全力!脱力タイムズ』ではランドセルを背負った女子小学生のコスプレをし、“ロリコン山里のフィアンセ”というテイで登場。要するに、再婚したばかりなのに、また別の男に乗り換えたという即興コントを熱演したのです。

 そういった不貞行為はもうしないんじゃなかったのかと出演者に問われると、矢口は「いや、でも、恋ってカミナリだ。打たれたらもう、やっぱりちょっと私にも抗えない」といけしゃあしゃあと言ってるのけるのでした。

ブログでタレントの底力を見せる

 「厚顔無恥」。

 まさにこの言葉を体現しながら今を生きているのが矢口なのではないでしょうか。

 好意的に解釈すれば肝が据わっているとも言えるのでしょうが、ストレートに解釈すればツラの皮が厚く、恥知らず……ということになりますよね。

 ただ、彼女を擁護するつもりはありませんが、ここまで厚顔無恥を強化して貫きとおすと、それが一つの才能として昇華されるのだとも感じたんです。

 日本で芸能人を意味する「タレント」という言葉は、そもそも「才能」という意味です。

 芸能界には“演技が上手い”、“歌が上手い”、“話が面白い”、“きれい”etc...といったさまざまな才能を持ったタレントが存在しますが、矢口は騒動を笑い話として開き直りそれを武器ともしています。

 ゲスな言動で脚光を浴びて売れっ子タレントとなった安田大サーカスのクロちゃん同様、どんなに非難されるような特徴であっても、何かひとつでもナンバーワンがあることはタレントとしての強みとなるのです。

 ネットで非難されることは少し考えればわかることなのに、あえてブログに綴るという行為。その背景にあるのは、やはり彼女の“タレント力”なのでしょう。そう、彼女は「厚顔無恥の天才」なのですから。

PROFILE●堺屋 大地(さかいや だいち)●恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー、恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』(扶桑社)、『スゴ得』(docomo)、『IN LIFE』(楽天)などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』(文藝春秋)、『日刊SPA!』(扶桑社)、『Business Journal』(サイゾー)などに寄稿している。LINE公式サービス『トークCARE』では、恋愛カウンセラーとして年間1000件以上の相談を受けている(2018年6月度/カウンセラー1位)。