南の海の群発地震は巨大地震の前触れ?
そこで各専門家が懸念する要警戒エリアを尋ねた。
「今後も注意が必要なのが小規模な地震が連続して発生しているトカラ列島周辺です。震度5クラスの地震や津波の発生もありえます」
と訴えるのは地震学者の島村英紀さん。
鹿児島県のトカラ列島周辺では4月9日より小規模な地震が多数発生している。有感(身体に感じる揺れ)地震はすでに200回を超えているのだ。
「トカラ列島が乗るフィリピン海プレートの中で地震が起きていると考えられます」
島村さんはそのメカニズムを説明する。さらに「火山」との関連も示唆した。
「火山帯なので火山性地震の可能性もある。以前から周辺では群発地震が起きています」(前出の島村さん、以下同)
火山が噴火すればこの地震はおさまるのだろうか。
「地表に現れる前にマグマが凍り、噴火にいたらないことはあります。そうなると地震だけが続くこともあるんです」
トカラ列島のすぐそばのユーラシアプレートにフィリピン海プレートが引き込まれている琉球海溝が走る。トカラ列島や南西諸島に巨大地震発生の危険はないのか。
琉球大学の中村衛教授は、
「トカラ列島を含む南西諸島の危険性も日本の他の地域と同様です。海溝型も直下型も、いつ起きてもおかしくない」
沖縄県も海溝型によるM8クラスの地震発生を想定。さらに沖縄本島でも震度6クラスの内陸直下型地震がたびたび起きてきた。
ただ内陸直下型地震は全国どこでも起きるリスクがある。最近でも岐阜や長野県の北部などの内陸部を震源に群発地震が起きているが、これも大きな地震と関係はあるのか。
「もともと火山もあり地震が多い場所です。大きな直下型地震につながるかの予測はできません」(前出の島村さん)
内陸直下型地震は活断層によっても引き起こされる。地盤防災の専門家で『だいち地震研究所』の横山芳春さんは、
「活断層は全国に2000か所以上あります」
注意が必要なエリアは東京都の立川周辺。神奈川県の三浦半島、千葉県の鴨川周辺など。関西では大阪府の豊中市から岸和田市にかけてだ。