欲求を抑えられないオジサンたち
2020年4月からは受動喫煙を防ぐ対策が全面施行されているなか、それでも喫煙欲を抑えられないオジサンに集まる視線は、当然ながら冷たい。では、なぜオジサンたちは迷惑行為を繰り返すのか。
「こうした問題については『社会的迷惑行為』というテーマで多くの研究がなされています」と教えてくれたのは、公認心理師の塚越友子さん。
「迷惑行為をする人は、他者の感情に思いが馳せられない、共感力や想像力が足りないことが原因だと思われるかもしれませんが、実はそうではないんです。社会的迷惑行為については、ふたつの自己制御能力というものが関わっており、ひとつは自分の感情や行動を抑制する能力、もうひとつは自分の意見を主張する自己主張という能力です」(塚越さん、以下同)
たしかにどちらも社会生活で必要な能力だが、迷惑行為とはどうつながるのだろう。
「前者の能力が高い人は迷惑行為を止められ、後者の能力が高い人は迷惑行為を行いやすい傾向があります。社会のなかでも積極的に発言する立場にあり、自己主張能力を伸ばしてきたのがいわゆるオジサンだとすると、オジサンの迷惑行為が目立ってしまう理由はこのへんにあるかもしれませんね」
「仕方ないじゃん!」仰天の言い訳
男性300人にとった別のアンケートでは、40%が歩きタバコや路上喫煙を、29%がタンやツバを吐く行為を自覚してやっていることが判明した。周囲への配慮に欠いた行動について、当事者のオジサンたちの反論の声を聞いてみると……。
「特に理由はありませんが、いつものクセで無意識のうちにタンやツバを吐いてしまう」(50歳・男性・自由業)
「人通りの極めて少ないときや場所を選んで、携帯灰皿を片手に持って吸っている。加熱式タバコだから紙巻きタバコよりマシだと思う、極力気を使ってるつもりですが……」(54歳・男性・会社員)
「そもそもタバコを吸える場所自体が少ないから仕方ない」(45歳・男性・会社員)