現在入院中のAさん(50代前半・男性)は、ゴールデンウイーク直前にコロナ感染が判明。基礎疾患も味覚障害もないまま、一気に重症化。死の淵をさまよった数日間を語ってもらった。

 

基礎疾患もない健康体だった

「最初は、ただの風邪だと思ったんですよ。味覚障害も咳もないしね。でも発熱が続いていたから、あれ、おかしいなと思って近所でリモート診察をしてくれるクリニックに相談したら、いちおうPCR検査をしましょうって。そして次の日、陽性判明。変異株でした」

 そう語るのは、都内に住む会社役員のAさんだ。いくつかの福祉施設を経営しているが実は昨年、関連施設でクラスターが発生したこともあり、コロナの怖さを熟知していた。ふだんは自宅を仕事場としており、外出する機会も少なめだったという。これまでインフルエンザには1度もかかったことがなく、基礎疾患もない健康体だった。

「コロナにいつ、どこで感染したのか。思い返してもある1か所しかない。世田谷にある某病院の待合室。発症前、術後の診察のために行ったんだけど、すごい人だった。でも病院だったし感染対策もしているでしょうって。それが甘かったんです。簡単な手術だから別に行かなくてもよかったんだけど……まさか悪夢の始まりになるとは」

 Aさんが発熱したのは4月22日。そこから夜間、39度近くの熱が5日間続いた。日中は熱が下がるが夜になると発熱、を繰り返していた。

 クリニックを受診したのは、26日。翌日に陽性が判明すると、すぐに保健所から連絡が来て、入院の荷物をまとめるよう指示があった。

「ホテル療養がしたいと希望したのだけど、病院へ入院となって。保健所が搬送車で迎えにきてくれました。防護服を着た看護師さんも乗っていて。連れていかれたのは某有名病院。よくニュースで政治家や芸能人がかかるような立派なね。ここに連れてこられなければ、自分の命はなかったと思うんです」