諸悪の根源、口呼吸
「口呼吸を続けると口腔内が乾燥しやすくなり、食べかすが歯にこびりつき落ちにくくなります。するとそれをエサにして口内細菌がたちまち増殖し、歯周病を引き起こす。
歯周病菌は脳の老化を加速させることで知られていますが、強力な浄化液である唾液の分泌量が乾燥によって減ってしまうのもまた、大きな問題なのです」
と警鐘を鳴らす。認知症患者の口の中は、
「まるでゴミ屋敷のように汚れていることが多いですね」(長谷川先生、以下同)
唾液の分泌量が減るということは、口腔内が浄化できずに口内細菌の増殖をさらに促進させることにつながる。
また、口呼吸が習慣化している人は、鼻呼吸の人に比べて、脳の前頭葉の活動が休まらず、慢性的な疲労状態に陥りやすいという(佐野真弘歯科医師との共同研究による)。
「口呼吸による前頭葉の機能低下は認知症につながります。通常、認知症における脳の機能低下は前頭葉から始まり、そこから徐々に側頭葉機能の低下を招くのです」
現在、日本の認知症患者は462万人いるとされているが、その前段階の前頭葉低下(早期認知症)と診断されている人はさらに400万人いると推定されている。つまり、口呼吸を続けていると、認知症予備軍になる可能性が高いということだ。
このようにマスク生活によって引き起こされる口呼吸が、脳を老化させる大きな原因のひとつと考えられるのは間違いない。
そこで、今日からできる脳の老化を止める3つの方法を長谷川先生に教えてもらった。なかでも諸悪の根源である口呼吸から、人間本来の鼻呼吸に戻してくれる舌先を意識的に正しい位置に置く「舌ポジション」はぜひ覚えておきたい。