「両親が甘やかしてしまったのかも」
さらに近所の住民によると、
「大学で遊び方を覚えちゃったんですかね。社会人になってからは大型バイクで通勤していましたよ。数人のバイク仲間がいて、集まるとブンブンうるさいのよ。バイクのほかにも、4WDの車も持っていた。まぁ、跡継ぎのボンボンだからね」
同児相によれば、八木下容疑者の給料は月21万円程度。大型バイクや4WD車は、彼の収入では到底買えるシロモノではない。
何不自由ない人生が、道を踏みはずすきっかけになったのか──。自宅の庭で草取りをしていた容疑者の祖母に話を聞くと、冒頭のような無念を告白した。さらに、
「私は40年前に夫を亡くして、女手ひとつで子どもたちを育ててきた。2年前にその子ども(容疑者の父親)を失い、それで今回は、孫の海斗(容疑者)も警察沙汰になって……さんざんな人生ですよ。いったい何が悪かったのか」
容疑者は、夜勤の仕事も、文句ひとつ言わずにこなすまじめな性格ではあったが、
「最近はやんちゃな子になっていたかもしれない。私は秋田生まれで厳しく育てられたので、子どもが悪いことをすればパシッと叩いていた。でも、海斗の両親は優しかったからねぇ……。甘やかしてしまったのかもしれんね」
容疑者の面会には、母親しか行っていないというが、
「今度、私が面会に行こうと思っています。職場はクビになるのは当然だし、子ども相手の仕事に就くのはもう無理でしょうけど、立ち直らせたい。そのためにも、被害者にはきちんと償いをして、更生させます。私が生きているうちに、なんとか……」
欲望にまかせたひとり善がりの犯行。犯した罪は、あまりにも重い──。