オアシズ、森三中、ハリセンボン、友近、いとうあさこ、椿鬼奴、柳原可奈子、渡辺直美、横澤夏子、ニッチェ、おかずクラブ……。
数年前のテレビで大活躍していた女性芸人たち。もちろん現在もゴールデンの人気バラエティーや朝やお昼の情報番組・ワイドショーなどで変わらぬ活躍を続ける人も多いが、結婚や出産という人生の大きな転機を迎えたり、仕事の質も変わってきている人も複数いる。
ここ最近のテレビ界に目を向けてみると、いわゆる“若手”の扱いで活躍する女性芸人といえば、
3時のヒロイン、ぼる塾、ラランド・サーヤ、納言・薄幸、ヒコロヒー、パーパー・あいなぷぅ、吉住らと言える。
テレビをつけると常に誰かが出演しており、女性芸人界も一気に世代交代が進んだ感が否めない。
「第7世代の盛り上がりとリンクしたというか、転換期なのかもしれませんね」
と、人気バラエティーや情報番組を手がける放送作家は言う。
「第7世代というくくりができたことで、お笑いブームが再来している状態が続き、どんどん若手が出てきています。テレビ業界全体を通してみると、視聴者全体に若返りが見られ、将来を考えるとそれらの層を大事にしていきたい。そのために、若い世代に人気のある芸人さんたちを起用するという流れがありますね」(同放送作家)
“人を傷つけない笑い”の時代
世代交代については、作り手の売り方というよりも、需要がある人たちの露出が自然に増えてきたものだと分析する。
女性芸人が増えれば増えるほど、話題になるのは“容姿いじり”問題だ。アジアンの隅田美保は容姿いじりで笑いをとることで、結婚できないのではないかと疑問を感じ、休業を経て先日、解散を発表したばかりだ。
「尼神インターの誠子や、3時のヒロイン・福田など、容姿いじりをやめると宣言した女性芸人もいます。東京オリンピックの開会式の演出で渡辺直美を起用し、『渡辺直美=ぶた=オリンピッグ』と、笑いを取ろうとしたクリエイティブディレクターが大炎上しました。あの件から、容姿いじりをやめる流れが一気に加速したと思います」
と語るのは、ある芸能ジャーナリスト。これまで、森三中らはその容姿で多くの人を笑わせてきた。またハリセンボンの近藤春菜も「角野卓造じゃねーよ」「マイケル・ムーアじゃねーよ」と、容姿に関するツッコミに応える形で笑いをとってきた。
「極端なことを言えば、美形の女芸人よりも、自ら“ブサイク”を表に出したり、体形をいじられて自虐するなどしたほうが、多くの笑いをとってきたことは事実。しかし、時代の移り変わりとともに、そういった笑いは今後、消えていくのかもしれません」(同前)
前出の放送作家も、最近人気の女芸人たちは、容姿いじりで笑いを取らない傾向にあると言う。その背景も、やはり“時代”なのではと説明する。
「3時のヒロインやぼる塾だって、最初はその体形などの“容姿いじり”で笑いをとることから入っていると思います。でも、“人を傷つけない笑い”の時代に合わせて、誰も傷つくことなく、仲がいい様子や、一緒にいるだけで楽しい空気を感じさせてくれる笑いに変わってきました。それを上手に笑いに変えることができるのが彼女たちの強みではないでしょうか」
現在は、他人をいじるよりも、楽しそうにしている様を見せてくれるほうが好まれる風潮があるという。時代の変化に合わせられる人が強い世界なのは間違いない。
〈取材・文/渋谷恭太郎〉