また『おとなの一休さん』(Eテレ)などで活躍するイラストレーターの伊野孝行さんは、破戒僧の一休さんに重ねて、こうツイートをした。

《朝乃山は別にそんなに悪いことしたわけじゃない。どこまでいじめりゃ気がすむのよ。世の中の方がよっぽどクレイジーだよ!》

 正直なところ、朝乃山、そんなに悪いことしたっけ? と思う。朝乃山を責める世間だって、緊急事態宣言に飽きて、みんな町に繰り出してるじゃないか?

阿炎と竜電は3場所の出場停止処分

 それに、朝乃山だけじゃない。

 コロナ禍にあって昨年8月、やはり夜の「接待を伴う店で会食をしていた」幕内力士の阿炎が出場停止3場所、5か月間の50%報酬減額の懲戒処分になった。阿炎は7月場所前や、さらに場所中にも4回店に通い、問題発覚後にコンプライアンス委員会からの調査を受けて「7月24日は行っていない」と嘘をついて、同行していた幕下力士に口裏合わせを自ら働きかけている。

 今年1月の初場所中に雀荘に通うなどしていたことが発覚した時津風親方(当時)は、自ら退職届を出して受理されている。その前にも同親方は、地方にゴルフに出かけ、2階級降格処分を受けていた。

 また、朝乃山と同時期に幕内力士の竜電が、妻以外の交際中の女性と会うために昨年3月から今年1月までの本場所中など外出禁止期間に25回にわたって外出をしていたことが判明。こちらは3場所の出場停止処分になっている。

 時津風親方の件は別として、阿炎と竜電は共に3場所の出場停止処分。それに比べると6場所=1年というのは非常に重い。前述した相撲ファンの方のツイートにある「力士の一番、一場所の大切さ」を思うと、これは適当なのか?と思ってしまう。

 そもそも、協会は外出禁止のガイドラインを作成しておきながら、それに違反したときのガイドラインは作っていない。朝日新聞大相撲担当者のツイート(6月11日)によれば、

「朝乃山がうそをついたことに対してコンプライアンス委員会は『相撲協会による処分から逃れることばかりに汲々としていた。そこには、潔さといった大関に求められる品格や、責任の重大さに対する自覚がみじんも感じられない』と厳しく指摘しました」

 と書かれていたが、こうした感情的、また「品格」という実体が不明なものによって処分が決められるとしたら、はなはだ疑問だ。同じような規則違反をしていた阿炎や竜電と処分に大きな違いの理由がそれなら、興行の看板である大関という立場を守らないのか? と逆に問いたくなる。