なんでもハラスメント化問題
で、罪のほう。いや、悪いというわけではない。もちろん苦しんでいる人もいるとは思うけれど、たとえばブラハラ、スメハラ、キメハラあたりはどうかなぁ。「なんでもハラスメントにしちゃう」ことの危うさも感じる。
定着していないところを見ると、かなり主観が強い印象もある。イヤだと思う人の気持ちだけが強烈で、他の人から見ればそこまで気にならないかもしれないという案件だ。
ブラハラはブラッドタイプ、要するに血液型による差別。「あの人はB型だから仕方ない」とか「そういうとこAB型っぽいよね~」ってやつ。名物だった血液型占いもテレビから消えたし、血液型関連の本もとんと見なくなった。確かに決めつけられたら心外だと思うネガティブな特性もあるが、正直「そこまでイヤかな?」と思ったりもする。
そして、スメハラ。スメルハラスメント、つまりニオイだ。これに関しては根が深い。口臭や体臭を面と向かっては言えない、言いづらい。それでスメハラを受けているということなのだが、それ自体が差別を生んでいるような気もしてならない。「くさい」というネガティブなパワーワードに日本人は敏感だし、不寛容だ。
また、ニオイに関しては「デオドラントや洗剤などの商品を売るため」にあえて言葉が作られることもあるので、恐ろしい。加齢臭が最たるものだ。「あなた、スメハラしていませんか?」なんて文言があると、多くの人は危機感を覚え、商品に手を出してしまうではないか。誰からも言われていないのに。で、消臭のために使う洗剤や柔軟剤、デオドラントや香水の香料が新たなスメハラを生むという皮肉な現実もあるよね……。
キメハラは、爆発的にヒットした『鬼滅の刃』を観ていない人が「まだ観てないの?」と言われて、疎外感を覚えるというものらしい。いや、もう、これは言葉遊びの範疇ね。「ヒット作や人気作を誰もが観ていると思うなよ」「みんなが面白いというものを自分が面白いと思えるとは限らない」と小さな反逆を起こす人の声だと思うと、なんだか微笑ましい。
観ていないことでいじめられたりハブられたら問題だけど、ハラスメントのライトテイスト版とでもいおうか。
ほかにも「ジュジュハラ」とか「不時ハラ」とか「イテハラ」とかもあるのかな? さて、何の作品でしょう? みたいな。答えは最後に。