何が何でも自分で介護するはNG
「まず前述した介護虐待の定義を頭に入れることが大前提。施設介護と同じく、知識のなさが無自覚な虐待を生むからです。そのうえで自らの性格、ストレス度、親との関係性に目を向ける。これらの要素は虐待と密接に絡みます」
●介護虐待を食い止める!セルフCHECKリスト
<性格>
□せっかちなほうである
□完璧主義である
□部屋が散らかっていると気になる
<ストレス度>
□ひとりの時間がない※
□コロナ以降、要介護者への接し方が変わった(厳しく当たるなど)※
□第三者がいない場では要介護者への対応がキツくなる※
□要介護者に対して憎しみを感じることがある※
<関係性>
□親子関係があまりよくない
□自分が介護することに納得していない※
※印は、現在介護中の場合。
上記のチェックリストで判断を。チェックの数が多いほど要注意となる。
「例えば性格でいえば、几帳面な人は介護にも完璧を求めます。それが思いどおりにならないと、虐待に走る傾向が強いのです。自分のことを客観視して、戒めましょう」
コロナ禍の在宅介護はこれまで以上に孤独になりがち。ゆえに1人で抱え込みすぎないことが重要なポイントに。
「何が何でも自分で介護する、という強い責任感は捨ててください。苦しいときは介護サービスを利用し、親を施設に預けて息を抜く。施設を媒介にした介護の形もありだとわかれば、気持ちがラクになるはずです」
親の介護を続ける支えとして、自分と同じ境遇の家族介護者とのつながりを持つことも欠かせない。
「その場に最適なのが『介護者の会』。全国各地に設けられていて、家族介護者同士の交流を深められます。コロナで活動をストップしている会もありますが、情報交換や愚痴を言い合ったりすることでストレスを発散でき、孤立化も防げます。介護者の会は各市町村にある地域包括支援センターで案内してもらえます」
親を介護する日は突然やってくる。明日かもしれないし、3か月後かもしれない。予測は不可能だ。
「何の準備もしていないと、親の介護でパニックになるのは目に見えています。将来の介護に備えた活動=“介活”を早いうちに始めましょう」