“少年革命家”を名乗り、「不登校の自由」という主張を掲げて自由に生きようとしているYouTuberのゆたぼん。彼の生き方には賛否両論が飛び交い、その矛先は当然ながら父親の幸也さんにも……。批判に反論しながら、彼が語った教育論とは―。

「最初に彼から“学校へ行きたくない”と聞いたときは、なんとか学校に行かせることはできないかと考えました」

 そう胸中を明かすのは、中村幸也さん。「不登校は不幸じゃない」というメッセージとともに小学校へ行かないことを宣言し、'19年、一躍脚光を浴びた少年YouTuber、ゆたぼんくんの父親だ。

小学2年生までは毎日楽しく学校に通っていた

 今年4月に中学生となったゆたぼんくんは、あらためて「俺は中学校に行く気はない」ことをYouTube上で発言。義務教育に一石を投じる格好となったゆたぼんくんと、保護者である幸也さんに対して、激しい賛否、さらには誹謗(ひぼう)中傷が飛び交う騒動に発展した。

 冒頭にあるように、当初は幸也さんも「学校に行かせたほうがいい」と考えていたという。しかし、ゆたぼんくんの学校への拒否反応が強かったため翻意したと続ける。

小学2年生までは、毎日楽しく学校に通っていました。ですが、3年生になったとき、彼の中で“なぜみんな同じように通い、教室に座っているんだろう─”。大人の言い方をすれば、一律で教育を受けさせられていることに対して、子どもながらに疑問を覚えたみたいです」(幸也さん、以下同)

 決定打だったのが、宿題をしていなかったことをきっかけに、担任教師との間に起きたトラブルだった。

「怠惰から宿題を放棄したわけではなく、なぜ宿題をしなければいけないのか、宿題をする前にその理由を先生に聞きたかったんです。親として僕も、宿題をする意味を伝えたものの、ゆたぼんとしては学校から納得できる答えを求めていました。ところが、“ルールだから”という一辺倒の答えが返ってくるのみで、彼はさらに不信感を募らせてしまった」

 結果的に、このやりとりが引き金となり、さらに学校とゆたぼんくんの溝は広がってしまう。

「不登校には葛藤はありました。ですが、本人が行きたくないと言っているのに、無理やり行かせることは本当に彼のためになるのかなって。だったら、行きたくないという気持ちを受け入れて、そのうえで親ができることを最大限サポートするほうが、子どものためになるのではないかと思いました

 そして、ゆたぼんくんは先述のとおり、学校に行かないことを宣言するのだが、「同級生たちがロボットに見えた」などの過激な発言が猛反発を招き、大炎上へと発展してしまう─。

「これほど大きな騒動になるとは想像できませんでした」

 と、幸也さんは当時を振り返りながら苦笑する。

「前例がないだけに批判は覚悟していました。賛否両論……とはいえ、7割が反対意見ですが、ゆたぼんが学校へ行かない選択をしたことに対する肯定的な意見もありました。本人がそうしたいというのであれば、親としてはサポートするのみだと励まされた」

 小学校の卒業証書を破り捨てるパフォーマンスをした際には、大顰蹙(ひんしゅく)を買った。幸也さんは、

「他人のものであれば叱りつけます。ですが、彼の卒業証書を彼がどう扱うかは自らの判断に任せます。“卒業証書なんだから大事にしろ”というのは価値観の押しつけでしかない」

 と毅然と話す。物議を醸した動画だったが、中には「スッキリした」といったコメントも寄せられている。学校に嫌な思い出しかない人にとっては救われた瞬間なのかもしれない。

 世間では、幸也さんに対し、“義務教育を放棄した毒親”“子どもを操り人形にする親”といった非難も多い。しかし、ゆたぼんくんには3人の妹がおり、彼女たちは全員学校へ通っている。

親の影響を受けて子どもが学校に行かないのであれば、娘たちも不登校になってますよね(笑)。僕は、子どもの気持ちを尊重することが大事だと思っているだけです。ゆたぼんは行きたくない、娘たちは楽しいから行きたい」